ライラの冒険 黄金の羅針盤


三部作の一話目で、舞台は「我々のと似ているが、異なるところも多い世界」。人間にはそれぞれの分身である動物が「ダイモン」として付き添っている。
オックスフォード大学の寮で育った12歳のライラは、権力者コールター婦人(ニコール・キッドマン)に望まれ旅に同行。しかし彼女は連続誘拐事件の黒幕であった。ライラは真理を告げる「黄金の羅針盤」を手に、子どもたちを救うため北の国を目指す。



冒頭、素っ気ない字幕で「私たちの世界では肉体の中に魂がありますが…」と言われ、そうなんだ〜と思う。魂って何?と考えたら置いていかれる。「ダイモン」が何なのかもよく分からない…(ベッドなんかじゃ、どうしてるの?)。敵の組織が子どもに施す「切り離し」は、ロボトミー手術を思わせた。


私がファンタジーものに出てくる偉そうな女性で一番好きなのは、「ナルニア国物語」の白い魔女ティルダ・スウィントン。日がな何してればいいの?ってかんじの荒涼としたお城が似合ってる。
二コール・キッドマンのような「美女」の場合、相当メンテしてるんだろうな〜気球に専用コックいるのかな?などと思ってしまう(その点「美少女」はメンテがそれほど要らなさそうだから、気楽に見られる)。
印象的だったのは、二コールが自分の「ダイモン」であるゴールデンモンキーを平手打ちし、その後抱きしめるシーン。自傷癖のようなものだろうか。ライラに騙され、缶のフタを開けるシーンも可愛らしかった(笑)
それから、小奇麗なダニエル・クレイグが雪山で暴れるプチ007のようなシーンも楽しかった。あの目はほんとうに雪国に映える。


クライマックスの、敵方に対しライラと子どもたち、ジプシャン、魔女、くまなど各チーム入り乱れての乱闘には、いかにもヨーロッパだな〜と思わされた。
くまのイオレクはなぜ手下を連れず独りで来たんだろう?たしかに他のくまは相当、ぼーっとしてたけど。


子どもの冒険ものといえば、最後に「うちに帰る」のがお決まりだ。
ライラの親友ロジャーも、自分を助けに来てくれた彼女に「うちに帰ろう」と言う。しかしライラは「しなければならないこと」を並べ立て、まだ帰れないと告げる。やることだらけだな〜と驚く彼。対して、冒頭常に見せていた眉間のしわも消え、すっきりした表情の彼女。二人の間には大きな経験値の差ができた。でもその後「終わったらうちに帰るだろ?」。ライラはあの寮に帰るのだろうか?
ちなみにロジャー役の子はベン・スティラーに見えて仕方なかった。もう一人の男の子、ビリーを演じた子はかなりの美少年で、出番は少なかったけど、「切り離」されてしまった後のやつれ姿が良かった。


街並みや建物、室内などもとてもきれいで楽しめた。
ひとつ引っ掛かったのは、敵の本拠地において、さらってきた子どものための食堂の壁に南国の絵(浜辺にヤシの木)が描いてあったこと。この世界にも南国があり、皆がそのことを知っており、憧れてるってことなのだろうか。


スコーズビー(サム・エリオット)の気球を見て、同行者が「あれはジャイアントロボのアニメに出てくる『シズマドライブ』だ〜」と言う。私は知らなかったけど、帰りにツタヤでDVDを借りて一緒に観た。なんか難しい話だ。