スーパーティーチャー 熱血格闘


「のむコレ3」にて観賞。

ここ数年、いかにも映画的な筋書きを綿密な調査やら何やらで裏打ちした作品が増えてきているけれど、これもその潮流にある一本と言っていい。準備した器が大きすぎてすかすかになっている感じは受けたけれども、荒唐無稽に見えながら色々なリアルが散りばめられていてぐっときた。香港で生まれ育ったパキスタン系二世や両親を亡くした新移民の子を始め、生徒達の住まいや保護者の仕事の様子といった環境が手短ながら丁寧に描かれている。

教育描写の方も、例えば冒頭の、ドニー先生というかチャン先生(ドニー・イェン)がタバコの話で一限もたせる場面など、ご丁寧に「総合を受け持つ」、最後に生徒の一人が「経済かと思ったら哲学、訳分からん」と口にしてくれるけど、教科の根っこは同じというところをきちんと押さえている。管理職の仕事とは責任を取ること、各教員の仕事はyou can do it!と伝えること、という基本も抜かりない。チャン先生の邁進も、教育界ほど先例主義であるところはないから経験のない彼にこそ出来るのだと思われてくる。

も・ち・ろ・ん、あんなにうまくいくわけない、というのは生徒とのあれこれよりも世の人々(特に保護者)はいい人ばかりじゃない、国は教育に金を出さない(って他の国では出してるの?)という部分により感じてしまったけれども。それでもあのテンポ、スピードは学校での時間は一分一秒が大切なものということの表れなんだ、チャン先生のタイミングがおそろしくいいのはああいう先生なんだからずーっと張ってて私達が見てるのはほんの一部なんだ、なんて思ってしまう(笑)そういう妙な力がある映画だった。