ファイティン!



ジンギ(クォン・ユル)の「俺たちが勝った!」に表れているように、これは俺たち…冒頭からしばらく「マーク」を演じるマ・ドンソクの瞳がずっと涙を湛えているように見えたものだけど、涙をこらえてきた者たちの話であった。
見ながらジンギが主役のように思われる瞬間も何度かあった。「マーク」の主人公性というのか、はそんなに強くないけれど、ドンソクの圧倒的な魅力で彼の映画になっている。分かってやっているのだからそれで正しい。何せ上映前の「日本の皆さんこんにちは」映像の時点で授業の疲れがふっとんじゃったくらいだからね(笑)


冒頭のロサンゼルスで韓国人同士の再会ながら英語を使うマークと韓国語のジンギのやりとりが引っ掛かっていたら、マークは「養子に出されてコリアンタウンで育った」と後で分かる。南大門で働くスジン(ハン・イェリ)が仲間に「方言が上手くなった」と言われる意味がその時には掴めないが、彼女はそこにやって来たのだと後で分かる。
舞台が韓国に移ると、市場にやって来るようないわば土着的な悪者は英語を解さず、更に上の悪者は英語も話す。彼やスジンの子ジュニョンの同級生のような本作の「金持ち」が英語を使うのは人を悪く言う時である。でも映画の最後には子ども二人の、そんなことから全然自由な英語が聞ける。


釜山の海辺でのマークとコンボの一戦にはふと、「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」の試合終盤に吹いた平等の風のようなものを感じた。この彼の存在など、シンプルに見えて何層にも重ねた味わいのある映画だった。「織りなす」という言葉がしっくりくるかな。