少年たち



アキ・カウリスマキが愛するフィンランドの映画」にて観賞。1962年、ミッコ・ニスカネン監督作品。


映画はドイツ軍がオウルに到着する列車の汽笛に、少年が仲間を集める指笛が続くのに始まる。女や子どもが「チョコレート」のために駆けて行く。ドイツ語が話せる子は早速口にしてチョコレートをもらう。この後、作中一度だけのナレーションが「彼らこそ40年代に大人になった世代だ」と言う、その意味が、振り返っても私には分からない。公開当時ゆえなのだろうか。


オウルの男達のうち、おそらく戦争に行ったことのある者はいい顔をしない。少年が兵士になろうかなと言い出すと、兄は「使い捨ては俺だけで十分」と吐き捨てる。少年にひととき影響を与えた「聖書を離れて戦争の英雄の話をしよう」の教師は、「労働者」の男に「愛国野郎」というような悪口を言われている。教師は体が悪いようなので、兵士になれず、そのために国への忠誠を見せているのかなとも思う。クラスで積極的に英雄の名前を答える生徒が「エキゾチックな」顔立ちをしているのも。


「チョコレート」目当ての女と「蜜」目当ての男の草むらでの一幕に少年達が群がる様には、怖いとか滑稽とかいうんではなく、同じようなことが起きればまた同じようなことが繰り返されるのだろうと思わされた。取引をしたドイツ兵が銃殺されるのや、砲弾を盗んだ仲間が爆死するのを見ても、その世代は大人になり、また「少年たち」が現れる。映画は追いすがる少年を残して去る列車からの視点で終わるが、それが向かうのは「終戦後」のドイツである。