Viva! 公務員



邦題を目にして、公務員の子として育った身としては一応…と見てみたら、加えて主人公ケッコ(ケッコ・ザローネ)、国は違えど同年代だった。幼い頃に職場に連れて行ってもらいその場所を好きにになる、というのも同じ(笑)私の場合は好きだったからこそ仕事をやめたので、真逆と言えば真逆なんだけども。


それにしても、これほど「日本が作ったらどんな映画になるかな」と思いながら見ちゃう映画ってない。冒頭の、昭和かよ!のアフリカ描写に驚いていたら、ステレオタイプ、勿論主にイタリアのそれを自虐的に、主人公のカルチャーショックを描くものだったから。「ママのネクタイ掛け」が好きだなあ(笑)本作では「イタリア」の真逆が「ノルウェー」ということになっているんだけど、「日本」の反対の国はどこかな、なんて考えながら見た。尤もこの映画の面白さは、二国間のギャップだけじゃなく、まさにケッコがらせんに巻き込まれてぐるぐる変わっていくところにあるんだけども。見ているうちにどこに居るんだから分からなく、どうでもよくなってくる。


嬉しかったのは、私の好きな、映画の一つの型であるところの「誰かの語り」ものだったこと。とはいえこの手の映画には語り手の魅力(皆が聞き惚れるだけの説得力)が必要なのに、こんなおっさんの話が面白いかあ?と思いながら見ているうちに、段々楽しくなってくる。ハンコ押ししか出来なかったケッコが変わっていくのと重なっているようで面白かった。実は途中まで、千夜一夜的な、命が懸かっている状況だから、ホラ吹いてるのかもと思いながら見てたんだけど、ケッコが恋に落ちるところで、あっこれは「本当」だ!と思った。恋の描写だって別にそんなに現実味ないのに、不思議なんだけども。