パッセンジャー/キングコング 髑髏島の巨神


週末の封切作二本、どちらも満席だった。


(以下どちらも「ネタバレ」あり)



パッセンジャー」のオーロラ(ジェニファー・ローレンス)の「船から下りられない!下りられない!」という叫びの怖いこと、私にはあれがこの映画のメインテーマに思われた。文明の粋の中にこそ文明の全く及ばない「空洞」があったら、という話だ。再入眠が云々じゃなく、例えば「これは殺人だ」「許されない」と誰かが判断したとしても、空洞の中じゃ足場が無く「何」も出来ない。
私は世の映画のそうだなあ、およそ20分の1は「男に目をつけられるとろくなことにならない」という話だと思ってるんだけど、この映画もそうで、この要素により先のテーマが浮かび上がるんだけど、そういう映画にはどうしても(実感として「知っている」から、とでも言おうか)不快感を覚えてしまうので困ったものだ。


パッセンジャー」のジェニファー・ローレンスと「キングコング 髑髏島の巨神」のブリー・ラーソンの役には、自分の体験したことを皆に伝えたいという動機でもって活動している仕事人、という共通点があった。特に「パッセンジャー」はそういう部分が面白かった。「見知らぬ人」に即インタビューをする心意気、往復切符。あの結末は、彼女がその視点をちょっと変えた、ということになるわけだけども。
キングコング 髑髏島の巨神」では、ジョン・グッドマンが「酒はどこで飲むかじゃなくどれだけ飲むかだ、男なら」「満足したなら戦地から引き揚げてる、それが男だろ?」なんて物言いを繰り返す一幕の後、場面換わって男も女も無くただやりたいことをやっているブリー・ラーソンの登場、というのが面白かった(作り手が意図していると私は思った)



キングコング」で心踊ったのは、初めてコングに遭遇した時、違うヘリに乗っているジェームズ(トム・ヒドルストン)とランダ(ジョン・グッドマン)が同時に退却を口にする(ように見える)ところ。皆が何かのプロである中でも二人は特別なプロであり、「タワーリング・インフェルノ」で言えばスティーブ・マックイーンポール・ニューマンが同じ判断を同時に下す、みたいな感じがして。それからジョン・C・ライリーが一ヶ所だけ、ウィル・フェレルとの共演時みたいな言動を見せる場面。映画におけるああいういびつな部分って好き(笑)
コングを始めとする大物達については、私、怪獣はあまり得意じゃないけど、戦闘シーンなど面白かった。働き者のコングさんの血に塗れた体を、ごしごし洗ってあげたくなったよ(笑)