世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方



都内で唯一の上映館、109シネマズ二子玉川まで出向いて観賞。
最近だと「ダーティ・グランパ」もそうだったように、「破天荒」に見えて価値観がガチガチに固まっている(「大人」は、「弁護士」は、救われなきゃならない存在である)のは私の苦手とするところ。尤も子どもが好きなものを詰め込んだ!映画であって私向けじゃないから、全然いいと思うけど。牛の肛門のどアップとか、小屋に突っ込むトラクターに乗ってる子ども達が明らかに人形だと分かるのをわざとかと思うほど何度も見せるとか、ああいうのはいいね、好き(笑)


映画は子どもが村と自分達を紹介するナレーションに始まる。「これがぼくたち」と幼稚園から逃げる一幕にあれっと思う。演技をしているのが丸わかり、つまり「生」の子どもが見えたから。「リアル」から程遠い設定の中にナマの生き物、それが面白い。大人達が分かりやすいセットを作り、分かりやすい「ふり」をする中に子ども達を置いて、楽しんでいるところを撮っているようにしか見えなかった。
飼育禁止となったハナグマを大人達が捕えに来るが見つけられないのを笑ったり、「秘密基地」で本を広げる時に手前の一人が突っ伏していたり、どこを切ってもとにかく楽しそうである。子どもが演技をする、ということが私にはよく分からず、子どもから大人まで、あるいは人によって、単に何らかのグラデーションなのかもしれないけど。


「秘密基地」がクレーンのてっぺんというのを始め、ごうごうと燃えるオーブン全開で焼けたパンを取り出したり、掃除機から蒸気が出て爆発したりと、子ども達がするのは「危ない」ことばかり。後半はほとんど、乗り物を運転しては壊すの繰り返し(笑)「本物」じゃなくても何かに乗ってハンドルを握りはするわけで、皆の笑顔が本当に楽しそう。エンドクレジットがメイキングなのは正しい。
結構怖いのが、施設の職員が老人を薬で眠らせるという描写で、そもそも子ども達も何がまず不満って、もっと起きていたいのに大人達が寝かしつけにくることなのだ。眠る時間を自分で決められない、というのが支配下に置かれていることだというのは面白い。


実はこの映画を見ながらも、「家族の肖像」でバート・ランカスター演じる教授の、自分がなぜ科学者を引退したのか吐露するセリフを思い出していた。「現代科学は中立じゃない、実用一点張りだ」「技術の進歩は隷属を生む」。それがこの映画の「消費者調査会社」というわけ。「それ」を「追っ払った」彼らは、幼稚園で「科学の研究」を始めるのだ。