Looking for Johnny ジョニー・サンダースの軌跡



ジョニー・サンダースについて「後追い」の私は、自分じゃニューヨーク・ドールズが一番好きだと思ってたんだけど、ジョニー絡みの曲をがんがん流しながら進んでいくこのドキュメンタリーを見ると、ハートブレイカーズの曲になるとこっちの方がいいじゃん、以降の曲になるとこっちもいいじゃんと、結局全部かっこいい。でもって出てくる皆が最後に口を揃えて言うには「ジョニーの作る曲は最高だ」。実はそんなふうに考えたことが無かったのではっとした。


映画はジョニーの主にステージ上での映像や写真と、関係者達の証言によって進んでいく。しばらくして、このドキュメンタリー、全く彼に寄り添ってないなと感じ、振り返ると、オープニングはジョニーの「皆が分かったようなことを言うが誰も分かっていない」という言葉なのだった。だからこの作りで「正解」なんだと思う。彼のことをクソ呼ばわりしたり魅力で乗り切ったと断言したり「色んな人が色んなことを言う」のが、全て、そうだったのかもしれないなあと思えて、気持ちよく見られる。
終盤、ジョニーが「レビューのようなショー」をやるようになったあたりまで話が進んだところで、「やりたいことは変わってない、二時間楽しませ、悩みを忘れさせたいだけ」という言葉が入るのも気が利いている。少年時代から着こなしで周囲を魅了していた彼が「エンターテイナー」気質だったことが分かる。


ドールズの二枚目のアルバムのプロデューサーはシャングリラスを手掛けたシャドー・モートン、というくだりで思い出したけど、ジョニーはシャングリラスが好きだよね。昔、アンディ・マッコイが好きなアルバムベスト10だかでシャングリラスのものを挙げており、それはジョニーの影響もあるんだだろうけど、私はそれで知って聴くもはまりはせずにいまだそのまま。「何」を歌っているか分からなかったからというのもあるだろう。
この映画はジョニーがどんな音楽が好きだったかということには触れないけど(冒頭に言及されるビートルズの「Twist and shout」のみ/「俺がやってることは全部誰かの真似」という言葉はある)、特に時代が下るにつれ、ジョニーが歌もの、というか歌うのも大好きだったことが改めて分かり楽しかった。


ジョニーが出演した映画(私は未見)をスクリーンで見られるのも嬉しい。本当にフォトジェニックだし、自身も自分を見せることに興味があったことが伝わってくる。
当時を知る女性達の現在のファッション含めたルックスも見どころ、皆「若さを保っている」ゆえじゃなく素敵だった。誰だか忘れたけど(「グルーピー」じゃないけど)「バンガー・シスターズ」のスーザン・サランドンをちょっと思い出させる人もいた(笑)男性もかっこいい人がたくさん。



(作中には出てこないけど)ハートブレイカーズの「Do you love me」は最高!84年再結成時のライブを収めた「Dead or Alive」より。ジョニーがこんなふうでもきっちり叩くジェリー・ノーランについて、これまで特に気に留めなかったけど、映画で「ジョニーの父親みたいな存在だった、舐められるからジョニーの機嫌を取ることはしなかった」と言われてたのを振り返ると、そうだったの?と思いつつしみじみしてしまう…