96時間 リベンジ



「96時間」('08)の続編。これなら十分!というマッサージ屋さんに行った感じ。


リーアム・ニーソン演じる…というか最早「リーアム・ニーソン」、がどういう人間か、これから何が起こるかのか、始めから分かってるわけだけど、オープニングから惹き付けられ、程無く「東と西の中間地点」で双方が遂にぶつかる寸前、リーアムの「focus!focus!」にこちらの緊張も頂点に。それからずっと、体温高いまま楽しんだ。
仮に前作を観ていなくても、リーアムの「少女達を破滅させた悪党どもじゃないか」との一言で十分だし、今回は出番の多い元妻(ファムケ・ヤンセン)に対する、なんであんなおっさんと縁切らないの?という疑問は、そっか「魔法」に掛かったならしょうがないな、と氷解する。奥行はゼロだけど、一応手は打ってある(笑)


デジタル時計が約束の「2:00」に変わると同時に車を降りるリーアム。この時点では「ギャグ」にも映るけど、彼にとって「秒」単位の時間が仕事道具であることが、後に分かってくる。
ホテルでの別れを最後に、親子が三人揃うことはない。リーアムが元妻と娘、それぞれを「助ける」パートが交互に進むわけだけど、プールからの流れで脚を出して頑張る娘と、血を抜かれて息も絶え絶えの妻、両方の味がよく出てた。娘が父の指示に従うことで、リーアムの行動の「説明」になるし、終盤に元妻を救出に向かう場面は、自分の頭に刻み込んだ地図を辿るリーアムがまさに(少々老いた)「猟犬」に見えて楽しい。


「凝り性なんでね」とせっせと車を磨くオープニングからの一幕、リーアムの「お父さんは心配症」ぶりは、先の時計の件を除いても「ギャグ」すれすれといった感じに描かれている。
娘に「警官を殺したの?」と責められ「仕方なかったんだ!」でその場を済ます(このくだり、必死の娘と父の顔アップが交互に入るのが笑える)、無くそうと思えばそう出来る場面に少々悩まされる。ラストに至り、おっ、と数日前に観た「LOOPER」を思い出してたらあんな結末だし、「業の者」としか思えなくなってくる。まあ自分で「猟犬」呼ばわりしてるんだから、そうなんだろうか。


娘との運転免許証をめぐるやりとりから、このリーアムって、逆らえない「正論」を持ち出して約束させ、それを「感情的」に破った方が悪いかのように思わせる、すなわち「自分の強さ」を利用して「正論」を通す、私の嫌いなタイプかもと思った。そして、あんな対応をする娘はなんて大人なんだろう、あるいはなんてリーアムの「理想」通りだろう、と思わずにはいられなかった(笑)