遊雀式 第一回


開口一番(三遊亭小曲・寿限無
三遊亭遊雀「宿屋の富」
三遊亭遊雀「大工調べ」
 (中入)
三遊亭遊雀居残り佐平次
 (2/26・内幸町ホール)


一年間の「遊雀玉手箱」が終了、今年は「遊雀式」としてゲスト無しの文字通り「独演会」に。開口一番は5分程度だったので早く終わるかと思いきや、大ネタ続きで終了時刻は以前より遅いくらい。楽しかったけど、最後の方など頭がぼーっとしてきた。日曜の夜だし(笑)


挨拶の後、明治座五木ひろし特別公演で見聞きした隣席の客の話。一席目の「宿屋の富」は、その公演で「高津の富」を観たことから決めたんだそう。
遊雀さんの「宿屋の富」はもう三度目くらいだけど、毎回少しずつ違う。この日は番号発表のくだりがより簡単に、妄想男と番号確認(「たった、たった」)の場面がより強調されていた。後者は無言で全身白熱の演技。そういえば、後で話してて気付いたんだけど、冒頭のホラ話の後に「なんで信じるかね〜」という独り言を入れる演者って珍しい。ふとリアルな感じがする。
いったん下がると、お囃子の稲葉千秋さんによる、マクラに出てきた「横浜たそがれ」が流れる(後で遊雀さんいわく「申し出てくださって」とのこと)。黒紋付に着替えた遊雀さんが再び高座に。「大工調べ」は、「棟梁こわい!」の与太の馬鹿ぶりがキュート。でもこれは志ん朝の、キャラクターが演じ分けられた華麗なやつが染み付いちゃってるから、少々物足りなかった。そもそもこの噺、江戸っ子気質ゼロの私としては、大家さんが可哀相になってしまって、よほど面白く演じてくれない限り、聴いてて楽しくない。芋の件はともかく、ケチで何がいけないのって思う。ばあさんだって、気に入った男と一緒になろうが別にいいだろう(笑)
中入後は再び着替えて登場、「居残り」に50分。遊雀さんの居残りはほんとに調子のいい男。最後に「自己紹介」する時だけ、ふと黒っぽくなる。この噺はここが好き。