マイティ・ウクレレ




ハ長調はみんなのキーよ」
 (…と言ってたけど、どういうニュアンスだろう?)


ウクレレを題材にしたドキュメンタリー。ジェイク・シマブクロのライブシーンに始まり、なんとかキング(名前忘れた/作品は彼に捧げられている)によるバッハのプレリュードで幕が下りる。前者は激しい曲を鳴らす腕の筋肉に見惚れ、後者はあまりに心地よく、こんなことめったにないけど、エンドクレジットがいつまでも続いてほしいと思った。


冒頭から大勢が登場し、ウクレレについて語る。まずは「ウクレレで生計を立てている」わけじゃない人々。「オーディションに落ちてウクレレを止めるなんてやつはいない」「ウクレレを楽しむのには弾かなくたっていいんだ、その場の演奏を邪魔せず味わえば」なんて言われるので、ほんとに気が楽だ。
次いでその歴史が辿られる。黒地に白線の素朴なアニメーションや、「ウクレレ史にとって喜ばしい(あるいは「喜ばしくない」)出来事」などの「偽ニュース映像」が楽しい。万国博覧会を機にアメリカ本土でウクレレが流行り始めたあたりでハリウッド映画の断片が幾つか出てくるんだけど、ほとんど分からないので寂しかった。「ウクレレを取り入れた喜劇俳優」はロスコー・アーバックル?
その後、60年代には「変人」のトレードマークになるも、徐々に復活。音楽ジャーナリストいわく「ジョージ・ハリスンのコンサートで、名立たるミュージシャンたちがウクレレを弾いてたの」「皆じつはウクレレが好きだったのよ、まあ、すごく熱中してたってわけじゃないけど」。こうした「なんとなく」といった語り口がいかにもでいい(笑)ポール・マッカートニーロバート・プラントピート・タウンゼントウクレレを手にする絵も可愛い。


後半には、ウクレレをクラシックやヒップホップに取り入れたり、オタク的に弾き方を追求したりするミュージシャンが次々と出てくる。手軽に弾けて使い方次第、という幅の広さが伝わってくる。
ジェイク・シマブクロは「ウクレレはその概念が文化によって違うのが面白い」「だから国によって演奏する曲を変える」と言っており、その後に流れる日本でのライブでは「さくら」を弾いていた。日本じゃどういう「概念」だと思ってるんだろう?


最後は教育現場のレポートにも近くなる。確かに「全員に行き渡り」、すぐに演奏できる楽器は学校じゃ理想的だ。関係者いわく「ピアノやバイオリンを習うと、親は毎日練習させようとやっきになるけど、ウクレレなら期待しないからいいんじゃないかしら」。親の方が「娘がリコーダーを習い始めた時は哀しかったけど、ウクレレになった時は嬉しかったわ」というのはちょっと可笑しかった。