親愛なるきみへ



公開三日目、新宿ピカデリーにて観賞。満席だった。今年のアマンダ映画はどれも大入り。上映館が少ないのかな?


2001年、チャールストンの海辺で出会ったサヴァナ(アマンダ・サイフリッド)とジョン(チャニング・テイタム)の物語。911を機に二人の関係に変化が起きる。
原作小説は未読、監督にラッセ・ハルストレム。5年前の作品ながら今年公開された「ザ・ホークス」は面白かった(感想)。それほどじゃないけど、こういう作品を映画館で観られたら満足。


冒頭、サヴァナが座ってる所に隣人ティム(ヘンリー・トーマス=「E.T.」のエリオット少年)の息子がやってきて、去っていく様子がとても自然で…「自然」ならいいのかって話だけど、とにかく感じが良くて、更にその後、父親の言葉を真似てはしゃぐ場面の輝きには驚愕。ああいうのが撮れるってすごい。


二人は出会った傍から惹かれ合うが、サヴァナがジョンに対し「あなたのお父さん(リチャード・ジェンキンス)に会ってから云々」と告げるあたりで、初めて不穏な空気が流れる。私の目からすると、彼の父親に接する態度など、サヴァナは少々管理者的というか、よくない意味で「教員タイプ」、はっきりいってうざい(笑)もっとも結果的にジョンは、父親のその点に目を向けさせてくれたことに感謝するんだけど。
ジョンの方にも、他人に暴力を振るった過去があることが示される。二人には欠点だってあるけど、なんでこんなやつ、こうすればいいのに、などとは思わない。私ならこうなのに〜という感想を抱くだけに終わらない、いい恋愛映画だ。登場人物に、あくまでも「寄り添って」いる感じ。


原題は「Dear John」、離れ離れになった二人の手紙のやりとりが物語の柱となっている。二人の手による手紙が郵便局の巨大な無人機をゆく場面や、戦地に投下される場面などが何度も差し挟まれる。パラシュートを大きく捉えた画が美しい。
また全てにおいて抑えた描き方がされる中、「手紙」に関しては大技?が使われる。ジョンがサヴァナに初めて書いた手紙、彼女が彼に「2ヶ月」ぶりに書いた手紙、彼が父親に書いた手紙、それらの文面は明らかにされないか、後々まで隠されるか、もったいぶって示される。


初めてのキスと、空港での再会の場面に飛びつき抱っこあり。これが見られる映画には甘くなってしまう。アマンダのような、鈍重感のある人がやるからいい(笑)
チャニング・テイタムについては、「G.I.ジョー」でのバカ面イメージしかなかったのがしっかり払拭された。被弾から回復し、鏡の前で久しぶりに軍服に袖を通す場面が印象的。リチャード・ジェンキンスは勿論素晴らしく、その「手」には泣かされた。


10分で撮ったような、唐突ながらさり気ない、悪くないラストシーンには、「White Palace」(ぼくの美しい人だから)を思い出した。全然違うんだけど、何となく。高校生の頃はまって、原作小説も映画も何度も観たものだ(もっとも小説と映画じゃ派手さが違うけど)。

ぼくの美しい人だから [DVD]

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