リメンバー・ミー



「トワイライト」のロバート・パティンソンが原作に惚れ、制作総指揮と主演を兼ねた作品。登場時アパートのベランダに出てるので、「陽に当たってる!」とお約束の突っ込みをしてしまった(笑)


ある夜、ある駅のホーム。電車を逃した母と娘を悪漢が襲い、助かったと思いきや、彼らの顔をじっと見てしまった母親は撃たれて即死。しばらく後、父親(後に警官だと分かる/クリス・クーパー)が娘を抱きかかえ連れ帰る。
…というオープニングは面白いんだけど、主人公タイラー(ロバート・パティンソン)が出てくると体温は下降。場面は替わって10年後、ニューヨークのぼろアパート。裕福な家を出て「自堕落」な生活を送るタイラーは、亡くなった「兄さん」の年齢に近付こうとしており、そのことについてガンジーやらモーツァルトやらを引用しながらつぶやく(後に、それらは彼が毎朝思い出のカフェで書いている日記だと分かる)。これがどうも心に迫ってこない。救いは親友とのふざけ合いだけど、それもいまいちぱっとしない。全体的に、面白くなりそうなのを、ロバートが消して回ってるという印象を受けた。


初めて彼が魅力的に見えるのは、大学生アリーに声を掛ける場面。結局「トワイライト」のような「恋愛もの」に向いてるのか〜というわけではなく、「新たな関係」に乗り出すきらめきのようなものが上手く出ている。それともたんに、私は彼の笑顔の方が好きだからだろうか?
レナ・オリン演じる母親が「あなたのおかげで皆つながってる」と言うのは、あながち気遣いからではなく、描かれるのはあくまでもタイラーを中心とした人間関係だ。アリーが「恋人」として身内の集まりに出たり久々の父との食事に同席したりする場面では、「一族」という人間関係の広がりが味わえ面白い。ちなみにアリーには当面の「一族」は父(クリス・クーパー)しかいない。
男たちはそれぞれ誰かを愛しているが、互いの「利益」の相反により、ぶつかり合いが起こる。タイラーは二人の「父親」とぶつかるが、その場面はいずれもあっけない。本当に「ぶつかって」いるだけだ。また母親の新しい夫には一切関わらず、彼の方も、集まりでは後ろに手を組んで立っている。


ピアース・ブロスナン演じる、家族を顧みないエリートの父親は、息子に怒鳴り込まれた後、とある被害に遭った娘(タイラーの妹)を学校に送るようになる。タイラーがオフィスを訪ねると、父のPCには家族の写真が…この場面にはさすがに白けた(笑)
その後、話は意外な展開を見せる。今年一番の「どんでん返し」…という言い方はふさわしくないか、勘のいい人なら舞台設定で気付くかも、とにかくショックを受ける。冒頭の場面とのつながりも、それに向けて話が進んでいたことも分かるけど、それによって面白度が増してるかは疑問だ。


レナ・オリン様は、「アウェイク」(感想)ほど出番もなければ演技も見せないけど、お金持ちの妻という点は同じ。どのドレス姿もすてきだった。