人生、ここにあり!



「分かってないな、皆が反対するのは、君がしてきたことの成果じゃないか」



83年(作中「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を観に行く場面あり)のミラノ。新法に基づく精神病院の閉鎖により、元患者達は協同組合に集められ、単純作業に従事していた。そうした組合の一つに派遣されたネッロは、彼らに「仕事をしてお金を稼ぐ」ことを提案する。


薬漬けで意に沿わない切手貼りなどをさせられている患者達を前に、ネッロはまず「組合員会議」を開く。いわく、このまま慈善事業という名の単純作業を続けるか、「市場への参入」に挑戦するか。この「市場への参入」が大ごとなのかと思ったら、そうではなく、作中重要なのは、組合員の持つ権利である「会議」…自分で物事を決めるということなのだった。


彼らの提供する「寄木貼り」には価値があるため、仕事の獲得はわりと順調に進む。しかし皆が世界を広げるのに伴い、様々な問題が起きる。
ネッロは仲間のため、世のためと頑張るが、恋人に「あなたは大きな事に気を取られて、人間が見えていない」と指摘される。実際、彼が「世の」精神患者のためを思っての提案は、仲間に反対される。「自分の生活」を始めたばかりの彼らにはまだ時期尚早なのだ。


「先生は仕事が僕達のためになると言った、それならセックスもじゃないか!」というのは笑いどころなんだろうけど、それは「対・人間」だからちょっと違うだろ、と思ってしまう(セックスそのものについての問題とは違う)。でもお金を介在させると、笑えるシーンとして済んでしまうんだよなあ。


仲間にはそれぞれ「得意分野」があるため、「黄金の七人」タイプの作品としても楽しめる。「理事長」はあのカッコ、お仕着せのままなのか否か、考えてしまったけど(笑)
やがて彼らの目は「外」に向けられる。最後に出た字幕になるほどと思わせられた。