オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式



「ジョンキューが80年代に」という情報だけで楽しみにしてた作品。監督は「ハイ・フェディリティ」でジョンと脚本を書いたスティーヴ・ピンク。


昔からの親友だが今では疎遠な中年男三人が、うち一人(ジョン・キューザック)の甥も連れ、気晴らしに思い出のスキーリゾートへ。しかし若かりし頃の天国は廃墟寸前だった。ジャグジーで飲み明かした4人は、86年にタイムスリップしてしまう。原題「Hot Tub Time Machine」。


作中でも言及される…というか下敷きになってる「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などと比べたらそりゃあゆるいけど、必要なことは全部入ってる。ジョン・キューザックものだけあって、今の「バディもの」と違い登場人物が極めて「普通」なのが好み。何より「親友」の話を聴くジョンの目、めでたしめでたしの席で笑うジョンの目を見るだけで嬉しくなる。
何だかよく分からないチェビー・チェイスの他、BTTFのパパことクリスピン・グローバーが重要な役どころで登場。彼が片腕を無くすのを皆が待ち望むという展開がいい。思わず救っちゃたりとか、そういうの無い。


作中のジョンいわく、80年代は「エイズレーガンの時代」。恋人と別れてしまった当時を振り返って最悪と言うけれど、今だってぱっとしない。いつも「前向きじゃない」から。
あんなにイイ女だと思ってた恋人がポイズンのライブに馬鹿騒ぎする姿には、疲労を覚える。あの時代をバカにしてるふうではなく、ただ自分はあれから時を過ごしてしまったんだ、という感じ。ここからの展開は少々「あの頃ペニーレインと」ぽい。
鏡や他人の目には若い頃の姿が映るけど、仲間内(自分の実感)ではそのままというのが、例え過去にタイムスリップしても内面まで昔に戻るわけじゃない、というのを表すのにいいやり方だなと思った。大島弓子ものみたい。


男のキャラクターが数人いれば、一人は「お前はゲイか?」「男らしくしろ」などと「啓蒙」してくるやつがいるものだ。でも彼なりの「マナー」(「しぼんでてもフルでも失礼だから…」)も可笑しく、全然不快じゃない。
女性も皆可愛い。ジョンの恋人が彼に飛びついたりキスしたりする仕草なんて、いかにも「あなたと一緒でハッピー」という感じでいい。


80年代ネタはベタベタなのが満載。「Home sweet home」が大フューチャーされる他、テンション高いシーンで流れるのは「Kickstart my heart」(でもオチはいかにもジョンキューもの・笑)。当時小学生で、少し後にモトリー聴いてた私としては、86年のああいう様子って「憧れたけどつかめなかったもの」みたいなもんだから、どのシーンにも混ざって騒ぎたくなった(笑)