キス&キル




「あの神々しいボディ…
 毎日見てれば慣れるかと思ったけど、全然そんなことないの」


バカンスでの出会いを経て結婚した王子様は、CIAの凄腕エージェント。「3年目の危機」は、足を洗ったはずの夫に迫るハンターだった。主演にアシュトン・カッチャーキャサリン・ハイグル


もうこういうのダサいんじゃないかと思われる、昔の007風レトロなオープニング、ヒロインと両親の全然粋じゃないやりとり。出会いの後、彼女と一時別れて海に飛び込むアシュトンの姿(撮り方)のかっこ悪いこと。ダメ押しに、その後の「いそいそする彼女と、その間ひと仕事する彼」のくだりが「ナイト&デイ」の心躍る機内シーンの劣化版という感じで、どうなるんだろうと一抹の不安を抱いていたら、ハナシはちょっと意外な展開を見せる。
アシュトン演じるスペンサーが「恋に落ち」たことをはっきり示すのだ。「彼女を愛してる」といった類のセリフがしつこいほど繰り返され、「映画的」にもそれが「真実」であることが分かる。彼の心情が明かされたことで、物語は彼を主人公とした少女漫画(ってのもへんだけど)とでもいうような様相を見せる。以降、それが活かされるかっていうとそうでもないんだけど(笑)愛し合う二人のちょっとしたやりとりが面白い。


もう一つの意外性は、これも予告からは分からなかったことだけど、舞台が「うちの近所」に限られてること。郊外の、BIG・Kマートがあるような町だ(彼女はそこで「棒」を買う)。「隣人たちが豹変する」という展開からして、軽いゾンビもののような楽しさもある。


アシュトン大好きな私は、スクリーンに彼が映ってるだけで満足。色んな格好を披露してくれるけど、始めのほうのパーカー姿が特にキュートだった。次のシーンでよその旦那もパーカー着てるんだけど、その「意味」が全然違う(笑)その他、アクションシーンでちゃんと息が荒いのも嬉しい。
キャサリン演じるジェンの両親役、トム・セレックキャサリン・オハラも、いい味付けになっていた。