刑事ジョン・ブック 目撃者


「午前十時の映画祭」(公式サイト)のラインナップは劇場体験したらそりゃあ面白そうなものばかりだけど、何せ「朝10時」なので結局「パピヨン」しか観ていない。でも大好きな作品が回ってきたので、頑張って出掛けた。


L刑事ジョン・ブック 目撃者 (英語/日本語字幕) [DVD]

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モーリス・ジャールシンセサイザーが奏でる音楽をバックに、背の高い青い麦が揺れる。このオープニングと、同じく麦畑に男二人がすれ違うラストシーンがいいんだよなあ。「小品」って感じの、なんてことない話なんだけど、どの場面も真摯で美しく、なんともいえずいい。


85年の公開時に小学生だった私は、この作品を劇場では観ていない。何かの折にレンタルし、主に子役だったルーカス・ハースの愛らしさに惹かれ、その後何度もDVDで観たけど、スクリーンに向かうと、やはり新たな感動がある。冒頭ルーカスが列車の窓から見る、併走して馬を駆るアレクサンダー・ゴドノフの姿の美しいこと(ってまさかスタントじゃないよねえ・笑)。窓の中から、外からの、人々のガラス越しの表情。室内の小物の数々、壁に掛かった古いカレンダー。陽射しと鳥のさえずりの中、瀕死のハリソン・フォードが運ばれるシーンなんて、これまで気にかけたことなかったのに、しみじみ見入ってしまった。