ジェニファーズ・ボディ



最高!ってわけじゃないけど、色々思わせられる、憎めない映画。


田舎町の高校に通うジェニファー(ミーガン・フォックス)とニーディ(アマンダ・セイフライド)は幼なじみ。積極的で強引なジェニファーはいつものようにニーディを誘い、お気に入りバンドのライブに出掛けるが、火事が発生し、二人はばらばらに。その夜を境に、ジェニファーは男を食い殺す「悪魔」となる。


「スパイシー」な男の子の演奏姿を眺めながら、隣のニーディの手をぎゅっと握るジェニファー。「パートナー」と「セックスの相手」とを別にするというのはある種…いや一番「幸せ」なことだと私は思うけど(それじゃあ社会が困るから、そうさせないようになってるわけだけど)、この二人、そういう関係なのかと思ったら、何だかよく分からない。全編を通して、奇妙なほど、二人の心情が伝わってこない。私に友達が少ないから実感できないのかな〜とも思った。


それとは別の意味で、観ているうちに自分の中で「辻褄が合う」部分が数多くあり面白かった。まずバンドの演奏シーンがやたら長く「本物」なので、違和感を覚えていたら、実はこれ「バンド映画」でもあるのだ。また「学校一の美女」ジェニファーが登場時、学校の廊下をこちらに歩いてくるのを誰も振り返らないのは変だと思っていたら、後のプールでのニーディとのやりとりで、ああ…と思わせられる(笑)
ニーディと彼氏のセックスが全くいやらしくないな〜と思っていたら(セックス=いやらしいこと、じゃないから)、終盤、ジェニファーが彼にぶつける最終兵器は「彼女はあんたの想像もしないようなことしてたわ」。まるで二人のベッドを覗いてたかのように。


オープニング、体を掻くジェニファーの肌がきれいに撮られていないのを意外に感じた。男を食う前にジッパーを下げると、それこそ下着や虫刺されの跡が残っていそうな質感の上半身が現れる。さらに、最後に自室でやり合うシーンでの顔の不細工なこと!まあミーガン・フォックスの提供するエロって、掴めば歪むリアルさを湛えた、そういう類のものなのかもしれない。
彼女が鏡の前で、血色の悪い顔にリキッドファンデを塗りたくるシーンにはぐっときた。大体私は、部屋に男の写真(ミーガンの場合は加えて自分の写真・笑)しか貼らないような女の子って、仲間意識を覚えて好きになってしまう。
「冴えない女子」アマンダ・セイフライドは、意外と肉体労働が似合いそうな骨格、深爪に近いほどの指、ださいドレス、不恰好な走り方で、役にはまっていた。昔の少女漫画では、主人公がよく「私は目ばかりぎょろぎょろしてて痩せっぽちで、可愛くないから…」と自分を卑下してたものだけど、実際には「可愛い」という点も含めて、実写化したらああいう風かもと思った。