エル・カンタンテ


「キング・オブ・サルサ」と呼ばれたエクトル・ラボーの生涯を、ジェニファー・ロペスマーク・アンソニーで映画化。



つまらない作文みたいな映画だった。こういうことがあって、こういうことがあって、こういうことがあって…「彼はいつも冗談ばかり」と説明だけされ、冗談を言う場面はなしに終わる。映画を観る限り、主役の二人とも、何の魅力もない人物にしか感じられなかった。


映画はエクトルの妻であったプチ(ジェニファー・ロペス)が晩年に彼の思い出を語るという構成になってるんだけど、モノクロのその「インタビュー」映像が、彼女が「女優」すぎるため、観ていて恥ずかしいほど浮いている。ブラウスにスカーフという服装は、ちょっとキツイ感じを出そうとしてるのかな?と思ったけど、メイクも仕草も「女優」なので、意味をなさない。ふと、晩年「サンセット大通り」や「何がジェーンに起こったか?」のような映画に出る彼女を想像してしまった。
何度か織り込まれるライブシーンにおいても、彼女の容姿が完璧すぎて、迫力を削いでいるように感じた。
60年代から80年代に渡るファッションを見るのは楽しい。ドレスもすてきだったけど、赤いダウンにミニスカート、黒いブーツというのが気に入った。


プチがエクトルに「お前が女と寝てるところを見たい」と言われ、「あなたが彼と寝れば私もしてあげるわ」と言うシーンの後に、すかさず現在のインタビューシーンで「私たちには普通のことだったの」とフォローが入る、つまらなさ。


知り合ったばかりのプチを、姉と暮らす家に呼んだエクトルが、一触即発状態になった二人に「これから一緒に暮らすんだから、仲良くしないと」などと言うシーンで、そんなのイヤなこった!と思ったら、プチが本音をぶちかますシーンが良かった(笑)



「一晩にそんなに約束できないよ、もししたとしたら、うそだ」


「遅刻なんて、他の人が早すぎるのよ」