息もできない



きれいな映画だなとは思ったけど、あまり心動かされなかった。どうしてかな?と考えても、よく分からない。いつも「窓際の席」に座っているヨニの姿は、私には、何だか遠く感じられた。


予告編から想像してたのと違って、既視感のある、昔の少女漫画みたいな映画だった。「家庭環境の悪い」少年(じゃないけど)と少女が出会い、互いを必要とし合う。
主人公サンフンは、姉に対し「いなきゃよかったんだ」と言ってのける。彼は愛情深い性分だが、そのぴったりした行き場、ぴったりした表現の仕方が分からない。
「暴力をふるうやつは、自分がふるわれるとは思ってないんだ、そのうち痛い目に遭うのに」…というセリフは、彼自身に「痛い目にあう」覚悟、あるいは予感、があるということだろう。


「韓国のおやじはだめなやつばかり」とサンフンが口にするように、作中の父親たちは皆、妻や子どもに暴力を振るう。
女子高生のヨニが、自宅の台所で兄と対峙するシーンには、「力」というどうしようもないものの存在がありありと現れている。あらためて考えてみると、私自身も、思い切って戦えば何とかなりそうな相手のことは恐れない。そのことに気付いて怖くなった。


(書きたいこともう少しあるけど、それは後日…)