角川シネマ新宿にて観賞。ヘレン・ハントの脚本・監督・主演による作品。とても面白かった。
39歳の教員エイプリル(ヘレン・ハント)は出産を切に望んでいるが、夫のベン(マシュー・ブロデリック)に別れを告げられる。時期を同じくして養母が亡くなると、トークショーのホストとして有名なバーニス(ベット・ミドラー)が実の母親だと接近してくる。混乱しつつも、妻に去られた父兄のフランク(コリン・ファース)と親しくなるが、妊娠が発覚し…
あることに執着する様をコメディタッチで描くというのは、そのこと(この作品では妊娠・出産)をカジュアルに扱ってると感じられるから、まずそれが好みだ。何でももっと気楽になればいいと思ってるから。子どもが欲しいと思ったことのない私も楽しく観られる。周囲の子どもたちとの、わざとらしいエピソードや場面がほとんどないのもいい。
そして、観ていて楽しいのはキャストの面々。
ヘレン・ハントはアンニュイな感じの垂れ目がキュート。もしあれが男の顔なら、ベッドの中でまぶたや法令線をのばして遊びたい。
冒頭の夫との話合いの様子など、彼女の真面目で頑固な性格を表していて笑えるけど、彼女が頑として「血のつながった子ども」にこだわるのは、もともとの性分に加えて生育歴のためなのだ。
それからベット・ミドラー。ロマンチックだけど実際的で、迷惑だけど憎めない。ペタ靴でさっさと歩くヘレンを、高いヒールの彼女がよちよち追いかけるという「いかにも」なシーンが二度あり、それだけでも楽しい上に、どちらの顛末も面白い。「送ってくれる?…今の店まで」/「心の中ではひざまずいてるわ」(いつか使ってみたいセリフ・笑)「…」「しょうがないわね!」→上の画像(本国のポスター)
シャツと下着だけの姿には、「メイクアップ・ハリウッド」で読んだエピソードを思い出した。
メイクアップハリウッド―日本人メイクアップ・アーティストが見た素顔のアメリカ映画界 (文芸シリーズ)
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男たちのキャラクターははっきりいってしょぼいけど、役者は豪華。
今や「フツオ」みたくなってるマシュー演じる夫のベンは、病室でもキャップを脱がない、ジャージとスニーカーの男。それでも久々に会えば、新鮮に感じて食指が動くのが笑える。寂しんぼうキャラですぐ恋人も出来たんだろう。
コリン演じるフランクは…登場時くたびれ具合にびっくりしたけど(子どもを抱えて妻に去られた役なので、それでいいんだけど・笑)…最初は訳の分からないやつだけど、少し親しくなってみれば、分かりやすく可愛い男。「you move me」/「家族で薬をもらいに行こう」「…一緒に行かないの?」意図してるのかどうなのか、こういう、すっと心に入りこんでくる男っている。
エイプリルは、自分の意見をはっきり述べ、相手に「どう思う?」「どう感じる?」と聞いて会話を進める。
新たな人間関係に揉まれた後、「神に裏切られてきた」彼女が、これまでとは違った心でお祈りをするシーンにはじんとしてしまった。
女優さんの初監督作ということで、昨年公開されたジュリー・デルピー脚本・監督・主演の「パリ、恋人たちの2日間」(昨年観た中でベスト10に入るくらいよかった。感想)を思い出した。
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「彼女を許したいの、でも・・・」
「何か買ってもらえよ」
(これはなかなかいいアドバイス!その後こうなる↓)
「償ってほしいの、あなたじゃなく私のために」