マンマ・ミーア!


ギリシアの美しい島を舞台に、「ママのノート」で始まり、大団円に終わるミュージカル。



何はともあれメリル・ストリープが良い。冒頭、船着場に友達を迎えに行くのにジープを運転している姿が「お母さんに任せれば大丈夫」というかんじで、おなじみ「激流」を思い出してしまった。その後も、流麗なダンスを披露…というより「体の丈夫なおばさん」として動き回る。とび跳ねたり、梯子を上ったり、逆さになったり。中年女性が体を鍛えていればこうなるのかも、というような面白さがある。
演技も相変わらずで、娘の結婚式の夜、ロバに乗って教会へ向かう彼女を見送る姿など、昔の中野翠ならこてんぱんに叩いてそうなクサさだけど、私は嫌いじゃない。その後にピアース・ブロスナンを前にとうとうと歌い上げるシーンでは、赤らんだ鼻の前で両手を組み合わせるあの仕草に、「マディソン郡の橋」を思い出してしまった。ちなみに「激流」「マディソン」が出たついでに書いておくと、他に「シー・デビル」「永遠に美しく…」を思い出すシーンもあった(笑)
また、オーバーオールを履いたコメディ調のときの顔と、プロポーズを受けてからの美人顔とが全然違うのもいい(眉の形などを変えている)。後者は本当にきれいだった。


ミュージカルシーンはどれも楽しかった。歌や踊りがどうこうという前に、美しい舞台やよく出来たセット、また「女の子」話ならではの小道具を使っての演出が魅力的。昔の男の出現に驚き、思わずトイレにこもってしまうメリルを他の二人がなぐさめるシーンや、その後の彼女の寝室での「ダンシング・クイーン」はとくに良かった。


「独身最後の夜」ではじける男女が重なり合い、求め合うシーンで「この世界は異性愛者ばかりってことなのか…」と少々鼻白んでいたら、ラストにちゃんとフォローが入って良かった(笑)