ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男

yako2006-08-14



1969年。ローリング・ストーンズブライアン・ジョーンズ(レオ・グレゴリー)は、人里離れた山中に、かつてA.A.ミルンが住んでいた家を買った。マネージャーのトムによって送り込まれたのは、建築家のフランク(パディ・コンシダイン)。情緒不安定なブライアンのお目付け役も兼ねていたのが、次第にそのペースに巻き込まれてゆく。


「上映後のトイレで真っ先に耳に入った感想」というのは面白いものだけど、今回は20代女性二人連れが「ミック役の人、かっこよかったねー!」と盛り上がってました。同感。私も登場時の遠景で心奪われてしまった。といっても、ミックとキースは「画面に映ってる」程度、チャーリー・ワッツに至っては名前を呼ばれることすらないんだけど、メンバー揃ってブライアンにクビを宣告しに来た際の態度が、ミック→ビジネスライク/キース→ちょっと可哀相かも/チャーリー→ただ来ただけ、というもので、私は彼等のことよく知らないけど、それっぽくて可笑しかった。ちなみにトイレ出てからの下りエレベータ内では、それほど親しくなさそうな男女が「この歳になると水を飲んでも太る」という話を延々としており、現実に引き戻されました。


「男は才能より性分」というアタマの私にとっては…というか、この映画ではブライアンの才能が全く描かれていないんで、たんに「傍迷惑な男が死んだ」という印象しか受けないし、筋だけ追えば「大したことは起こらない」。だけど面白い。そういう映画ってやっぱりいいものだ。ジョセフ・ロージーの「召使」を思い出してしまった。ちなみに私が「色っぽい映画」というと思い出す一作が「召使」であり、対して「ブライアン〜」は全く色っぽくもエロくもなく、別にエロスとは内面がどうとか何とかいう話ではなくて、単にまず、自分で行うときと映画として観るときとの違い、なんだろうなあ。
話は戻って、「召使」でもダーク・ボガードよりお坊ちゃん貴族の方に見入ってしまった私としては?この映画では、絵に描いたような変人のブライアンよりも、何考えてるんだか、何も考えてないのかも、のフランクに心惹かれました。ルックスは、痩せてるティモシー・スポールというカンジ。


ラストの幾つかのシーンは、私には泥臭い独りよがりに感じられたんだけど、どうしてもこうしたい、という作り手の情熱を感じて、却って好感を持ちました。
あとまあ、あの時代に青春送ることにならなくてよかった。なんか切ないから。
ゴハンも(イギリス映画として)相変わらず不味そうで楽しかったです。