スーパーマン リターンズ

yako2006-08-22



自らの過去を求め宇宙をさまよっていたスーパーマンブランドン・ラウス)だが、クリプトン星が消滅したことを知り、第二の故郷・地球へ戻ってくる。しかし宿敵レックス・ルーサーケビン・スペイシー)は新たな野望を実現せんとし、愛するロイス(ケイト・ボスワース)は子供を抱えて他の男と暮らしていた。


(以下少々ネタバレあり)
やっぱりスーパーマンは面白かった〜。
ブランドン・ラウスがとにかく素晴らしいです。彼演じる新スーパーマンは「目」から登場するんだけど、画面一杯に映し出された眉毛と眼を見ただけで、「スーパーマン」以外何者でもないって分かる。対してケビン・スペイシー演じるレックス・ルーサーの「目」は…例えば博物館に隕石を盗みに入った際の、ライトに照らされて浮かび上がった眼は、素直には育ってこなかった面白さを湛えてる。
愛人キティ役のパーカー・ポージーの、いかにも彼女らしい、時代を超越したB級ぽいファッションも良かった。彼女なら何とかやってのけるだろう、無人島でも(笑)


今作は、オリジナルをかなり細かいところまで踏襲していて、かつバージョンアップ?してるとこもあって、楽しかったです。例えばルーサーとキティのやりとり「おい言ってやれ、オレの親父の口癖は何だっけ?」「…『ハゲるぞ』?」「じゃなくて!」「『出て行け』?」/ジミーが撮ったボケボケの写真に編集長と同僚いわく「これは何だ?」「鳥か?」「飛行機か?」等々。
舞台が現代になっているのも面白いポイント…なんだけど、クラーク・ケントが育った農村は昔も今もさほど変わりがないし、新聞社の内部も大して変化がない。タイプライターの音の有無くらいか。ロイスの髪型や服装もクラシカルだし。
目立った「時代の変化」といえば、クラーク・ケントが着替えに電話ボックスを使わないところと、ジミーのボケボケ写真が「12歳の子が携帯で取った写真」に比べられてしまうところ。ちなみに今作で、スーパーマンが携帯で写真撮られちゃうのはこの一回きりなんだけど、もし舞台が日本なら、観衆は皆、一斉に携帯出して撮りまくりだよね。日本人とアメリカ人の違いなのか、それとも単にフィクションだからなのか。
(そういや、ジミーが最後に撮ってた「スーパーマンがデイリー・プラネット社のシンボル(あの地球儀ね)をかついでる写真」は出てこなかったけど、次作があれば、そこで見られるのかな)
窮地に陥ったスーパーマンを、ルーサーの愛人が助けてしまう、というのもオリジナルと同じで、もー、なんでもっとしっかり見張っとかないのかな〜。まあ、とくに今回なんて、一度スーパーマンの腕に抱かれて空飛んだら、そりゃあ彼の側についちゃうよなあ(笑)「スパイダーマン」でも、一緒に空飛んだオバサンがぼーっとしてたけど、八百屋お七みたいに?スーパーマン会いたさにトラブル起こす女性が続出してもおかしくないよね。


スーパーマンを呼び寄せるためにわざとクルマで暴走したキティが、病院から戻るなりレックスを平手打ちすると

「ブレーキが利かない『フリ』だって言ったじゃない!」
「女のウソはすぐバレるからな」

一瞬黙って、レックスのビジネスライクな問い(えっと何だったかな?忘れてしまった)に答える。その「間」、何がアタマをよぎったのか、すごく印象的だった。


帰宅したら日曜洋画劇場でオリジナルの「スーパーマン」を放映してたので途中から観たんだけど(DVDも持ってるんだけど・笑)、私の好きな、ロイスとの夜間飛行デートが短くカットされてたので寂しかった。一人で飛べる気になっちゃったロイスが手を離してしまって、慌てる場面とか。そうそう、新作の飛行デートでは、ロイスの方も慣れちゃって、静かにパンプス脱いで、静かに上ってく。オリジナルのロイスなら、あんなにしずしずと行動しないよね。彼女はオリジナルの方が(当時の言葉で言えば)「お転婆」なカンジ。だからベランダでの「私の下着の色、分かる?」(中略)「…ピンクだね」「ピンクは好き?」「大好きだ」のようなやりとりもすんなりはまるわけで、今回の二人には、そういうやりとりは期待できないもんね。
それにしてもまあ、オリジナルでも今作でも、運がいいのか悪いのか、彼女はひどい目に遭いすぎ。飛行機内でもみくちゃにされるところは、あまりの凄さに笑ってしまった。「ポセイドン・アドベンチャー」「飛べ!フェニックス」等々、数々のパニックシーンを思い出しながら観てました。お得だったかも。