コーラス


1949年、フランスの片田舎。門扉と柵で囲まれた寄宿舎「池の底」には、孤児や問題児、諸事情により預けられた子どもたちが暮らしていた。教師兼舎監として赴任してきたマチューは、厳しい校長のやり方に疑問を感じ、合唱を通じて皆をまとめようとする。



冒頭マチューが赴任してくるシーンでは、私も春から学校の先生になったばかりなので、思わず重ね合わせて観てしまった。勿論彼はベテラン教師だし、私の環境とは時代も国も雰囲気も違うけど。それでも、初めて子どもの前に出て、腕組みしようかどうしようか、それとも後ろで組んでおこうか、戸惑う彼の姿が可笑しい。いきなり「集合の鐘を鳴らす」よう言われても、物の置き場なんて全然わかんなくて、ええっ?と。
そして、教室に向かうと、ドアの向こうから聞こえる声、声、声…が冷たい校舎に響いてる。あれ、初めはうるさく感じるんだけど、いっぺん会って話すと、すぐ馴染んじゃうんだよね。見知らぬ他人のたてる音は騒音だけど、知り合っちゃえば気にならない、というのと似てるかな?


さすがフランスだけあって、校舎や先生達の服装も、素っ気無いながらどこか雰囲気がありました。ランチの時間に大人はワインを飲むの。でもゴハンは不味そうだった(笑)
(飲み物といえば、マチュー達がカフェで飲んでた緑色のは、リキュールかな?この場面では、鮮やかな色の素朴な花束が印象的)
マチューはいい先生だけど、結構思い切ったこともする。子どもの母親にむかっていきなりあんなこと言うなんて、今ならセクハラなんじゃ…
彼も子どもたちも、先生方も、皆人間くさいとこがよかったです。すごいコンクールに出たりとか、するわけじゃないし。変わったようで変わらない人だっているし。


「天使の歌声」を持つモランジュ(ポスターや公式トップに大きく出てる子/サンマルク少年合唱団に所属する本物のソリスト)は、美少年というんじゃないけど面白い顔で、横顔がとくに美しい。誰もいない教室で、黒板を上目づかいで眺めながら歌う姿には、ちょっと見惚れてしまった。私はなんとなくカトリーヌ・ドヌーヴの息子を思い出しちゃったんだけど…実際比べたらたぶん全然似てないんだろうな…
ちっちゃいペケルは可愛すぎ!歌えない彼はメトロノーム番?なんかしながら、教卓に座ってるの。マチュー先生みたいにほっぺをギュッとしたくなっちゃう。
映画は二人が50年ぶりに再会するシーンで始まるのですが、老人となった今では体格が逆転してるのが面白い。


サントラ、先に買っちゃったけど、観たあとに聴くとやっぱり全然違う…