トンネル


2001年ドイツ作品(ASIN:B00006LY24)。早稲田松竹で「グッバイ、レーニン!」と「壁」モノ二本立てだったので行って来ました(でも時間と体力の関係で、両方は観られず)。


1961年ベルリン。一夜にして築かれた壁によって、国は東西にわけられてしまう。
元水泳選手のハリーは、幼子のために逃亡を断念した妹を置いて西側へ脱出。妻と離れ離れになった親友のマチスと協力して、壁の向こう側までトンネルを掘る計画をたてる。



私、以前書いたように「刑務所(脱獄)モノ」「潜水艦モノ」なんかの男オンリー映画が大好きなんです。これも最初のうち、ジャック・ベッケルの「穴」(一番好きな脱獄映画/ASIN:B000091LFO)みたいなとこあるなあ、とワクワクしてたのですが、音楽は結構派手だし(「穴」はほぼ穴を掘る音だけで話が進んでいく)、途中から、恋人を東に残してきた女性フリッツィが加わることになる。少々ガッカリしてしまったんだけど、でも、どんどん面白くなってきた。スパイ容疑、仲間内の人間関係、東側との壁をへだてた駆け引き…
事実はどうだったのかわからないけど、映画としては最高に面白くって、3時間弱があっという間でした。実行当日のくだりなんてほんと、息もつかせぬってかんじ。


最後に、この映画が実話に基づいてることが示されるのですが(私は知らずに観てた)、「60年代の中頃にはこうしたトンネルが何本も掘られた」というナレーションを聴いて、ぱーっと一気にイメージが広がった。どこかで読んだことのあるエピソード、偽造書類で出国した人、走って壁をよじのぼった人、湖を泳いで渡った人、バスで壁に突入した人(作中出てくる)、そして、トンネル掘った人もたくさんいたんだなあと。映画観てる間は、このトンネルが「壁」問題の象徴みたいなカンジがしてたけど、実際は、この1年足らずの間にも、いろんな人がいろんなことしてたんだろうなあと。
壁を越えようとしたフリッツィの恋人を撃つ兵士の表情が印象的で、人間には、人間を殺さない権利もあっていいのになあ、と思ったり。


戦場で片足を失った理想主義者のヴィックという人、ドニー・イェンがお湯でふやけたような顔なんだけど、東側に捕まって裸にさせられるとき、義足を外すんだよね。
不謹慎だけど、身体の一部が不具な人って、抗えない魅力がある。それが(たとえば纏足のように)自由に動き回れないからという身勝手なロマンによるのか、それともたんに見た目の奇特さによるときめきによるのか、わかんないけど。
あと、ドイツではクリスマスにりんごを食べる習慣があるんだろうか?ツリーやリースに飾られてるのはよく見るけど、ナマで食べてたから(まああの場合、料理する余裕なんてなかったのかもしれないけど…)