週末の記録



金曜の夕方、紀伊國屋に行ったついでに、画廊で開催中の橘蓮二写真展「噺家」を覘く。高座を横から見るとこんなふうにお辞儀してるんだな〜と思った。


土曜日のお昼は、初の自宅サムゲタン。市販のスープで鶏肉とネギを煮込んだだけ…じゃ寂しいから、薄焼き卵の千切り、にらのラー油和え、キムチ、チーズなどのトッピングを用意したら、とても美味。「食べ終わるのが惜しい」と言われた(笑)
午後はうちの年中行事のひとつ、小川美術館での有元利夫展。あらためて見ると、絵だけじゃなく額も随分古くなってることに気付く。
飯田橋まで歩いて、カナルカフェでマフィンとコーヒー。デッキサイドはやっぱりまだ寒い。そのせいじゃないと思うけど、マフィンめちゃ固かった。
新宿に移動して、ミラノにて公開初日の「悪魔を見た」。いまいちすっきりしなかったから、「恋とニュースのつくり方」をハシゴして帰宅。どちらも感想を下に。


日曜日は東京マラソンを観に行く(2年前のボランティアの記録)。急に思い立って出掛けたので、銀座→浅草の足切りを追っかけるカタチになっちゃったけど、楽しかった。浅草のコンビニで「雷門の水」(ペットボトルを畳むと提灯型になる)を購入。ポケットティッシュもマラソン仕様。
お昼は駒形どぜうへ。写真はネギ乗せた後だけど、頭と骨を取って開いた「どぜうさき」と丸々そのままの「どぜう」、どちらも美味しかった。板張りの床卓なのであぐらにコート掛けてたら、おつゆを点々と飛ばしてしまった。
大江戸線で汐留に移動して、鉄道歴史展示室(旧新橋停車場)で開催中の「警視庁カメラマンが撮った昭和モダンの情景 石川光陽写真展」。電車の中吊りで気になってたもの。盛り沢山で見ごたえあった。
近くでお茶した後、内幸町ホールの落語会へ。記録を下に。

遊雀玉手箱 オハコの巻


三遊亭遊雀「熊の皮」
三遊亭遊雀「寝床」
三遊亭小遊三「替わり目」
 (中入)
三遊亭遊雀「紺屋高尾」


今回は「オハコの巻」、チラシに「ずうずうしいタイトルだけど愛情は人一倍だからご勘弁を」とあったけど、その名に恥じない素晴らしい会だった。
「ビッグゲスト」は小遊三。二人並んでのオープニングトークでは師匠が地デジについて語るものの、ただ「喋ってる」だけ、あまりのつまらなさに驚かされる(笑)高座(マクラ以外)はいつもながら面白かった。


マクラでいわく「最近の噺家は変わってきてる、寄席の楽屋の雰囲気が全然違う」。挙げられたエピソードは(遊雀さんと親しい)三三のことかな?と思ったら、やっぱりそうだった(笑)「熊の皮」最高に楽しかった。
いったん引っ込み文楽の出囃子で再登場(「独演会だから許してください・笑」)、「寝床」へ。一週間前に聴いたものに比べ、細かな部分が色々足されていた。
この日は噺ごとに着替えてたけど、中入後は私の初めて見る袴スタイル。花魁の重厚な感じを出すためかな?照明も落ち着いた感じに変更し、マクラなしで本編へ。私は「紺屋高尾」について、男の片思いの話なんて何が面白いんだと思ってるけど、遊雀さんのはとても良かった。のっけから、こんな馬鹿げた久蔵ってアリなのかと驚かされるんだけど、中盤それが活きて来る。陳腐な言い方だけど、メリハリあって楽しい。

ギルティ・コンサイエンス


ギルティ・コンサイエンス 【アナログ・リマスター】 [DVD]

ギルティ・コンサイエンス 【アナログ・リマスター】 [DVD]


レンタル新作にて観賞。コロンボシリーズを手掛けたリチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンクの製作・脚本による85年のTV映画、アナログテープをリマスターした初の映像ソフトだそう。


ジャケ裏の解説によると「妻殺しを画策する男の前に、後ろめたい心が生んだもう一人の自分が実体となり現れる」。先日観た「MAD探偵」(感想)は「『多重人格者』を複数名の役者が演じる」なんてことを堂々とやってのけて面白かったから、通じるところがあるかもと思って観てみたら、そういうのじゃなかった。
「成功者の『栄華』ぶりを見せた後、犠牲者となる人物が映る」らしき冒頭は、コロンボシリーズを思わせる。アンソニー・ホプキンス演じる弁護士が殺人を犯した後、もう一人の自分と法廷尋問のカタチでやりとりを始める所から空気が変わってくる。頭の中でのシミュレーションだったのだ。しかしあくまでも主人公の職業を活かした妙味が勝ち、「異様」な感じはしない。
そのパターンが繰り返された後に「現実」の方が進み出し、終盤は(舞台がほぼ屋敷内のみということもあり)「探偵スルース」のような様相に。しかし主人公が相手を馬鹿にしているためか(実際大した「敵」じゃないためか)「拮抗」感はない。それなのにああいう結末が訪れるのが面白いのかな。


同時期の「ブレックファスト・クラブ」「ウォール街」などでも印象的だけど、当時のアメリカの裕福な層に、寿司を始めとする「日本」が流行ってることが分かる。「日本の木」には「Police squad!」を思い出し笑ってしまった。

悪魔を見た



公開初日、ミラノ1にて観賞。
婚約者を惨殺された男(イ・ビョンホン)が、女を殺し続ける男(チェ・ミンシク)に復讐を試みる。


予告編からブロンソンの復讐ものみたいな話かと思ってたら、冒頭の犯行…というより「暴力」シーンが細かく描かれるあたりから、何か違うなと思わされる。いわゆる「韓国暴力もの」の爽快感は無い。二時間半延々と、チェ・ミンシクイ・ビョンホンのどちらかが暴力を振るっているばかり。次第に飽きてきたけど、終盤には、このうんざりするような長さに意味があるんだと思った。
ラスト、ビョンホンはミンシクに対し「お前の犯した罪の大きさを認めるか?」と語りかける。観ている方は…おそらく彼自身も、そんなこと有り得ないと思う。他人と価値観を共有したり理解し合ったりすることは不可能だが、肉体の苦痛は、例外を除いて万人に共通だ。痛めつければ相手は痛い。暴力の意味がそこにある。


事前に目にした予告編や宣伝では、女性客を呼ぶためか偶々か、「いわゆる」エロ要素を全て抜いてるんだなと思った。女であることの辛さをなすりつけられるような性的描写。しかし映画自体が女を差別しているわけではない。


お馴染み、イ・ビョンホンの上半身ヌードは今回は無し。寒々しい中、常にダウンジャケットを着込んでいる。コートのフードって、ああいう男たちが仕事するのに使うんだなと気付かされた(笑)