フランシス・ハ



「猫を二匹飼うんだ」
「なぜ二匹も?」
「一匹じゃかわいそうだから」
「飼わなきゃいいのに」


実はそれほど書きたいことが無いんだけど、苦手な渋谷まで出掛けて見たから、記録を残しておきたくて…
オープニングからずっと面白くなかったけど(「不愉快」というわけじゃなく「何」も感じなかった)、ある所から心にすっと入ってきた。それはフランシスがパリで電話を受ける場面。なぜそうなのか、自分の脳を誰かに見てもらい、説明してもらいたい。
夕方4時半に起きるのは確かに遅い、でもそこからでも何かはあるし、何なら明日もある。それってこの映画と私の関係かもしれない、こじつけだけど(笑)ここで終わればハッピーなのに、という場面が何度かあるけど、そこでは終わらない。生きていかざるを得ない。そういう映画は嫌いになれない。


中盤、フランシスは「恋」には「特別な時」が欲しいと語る。しかし終盤、彼女が得る「特別な時」は「恋」によらないそれ。あの場面と、現在のフランシスの人生の登場人物達がそれぞれ見せる笑顔とは、映画の卑怯とするか、そうしないか、私としてはギリギリのところだ。
「友情」と「恋愛」というものがあるとしたら、「普通」に生きざるを得ない殆どの人にとっては、それらが「区別」されていることは否応ない結果でしかないと私は思うから、色々考えているふうなのに、その否応なさが描かれていない映画というのにはむかついてしまうのかもしれない、なんてことを考えた。