円丈十番勝負



開口一番(三遊亭わん丈「プロポーズ」)
三遊亭円丈「手紙無筆USA」
柳家喬太郎「カマ手本忠臣蔵
 (中入)
三遊亭円丈「悪人β」
 (11/13・日本橋劇場)


わん丈いわく「喬太郎師匠は神様みたいな存在、円丈師匠に弟子入りしたのは『神様』の『神様』だから」「この会の開口一番を務められて嬉しい」。相変わらず楽しい高座。枕の母親ネタは初めて聞いた、喫茶店に朝から…って話をするなら滋賀県には「モーニング」文化があるって説明しなきゃ!(笑)


同居人の好物のあんドーナツを買って待ち合わせしたら、円丈が上って早々「あんドーナツを買いに出掛けた帰りにガイジンの外車に轢かれた話」をしてくれたので、偶然が嬉しかった。英語の枕から「手紙無筆USA」、この日はいまいち。もたもた足踏みする噺をもたもた演られたんじゃ苛々してしまう。
中入後はほぼ枕無しで「演るのは三回目」だという「悪人β」(完成形じゃないから「β」)。「ひきこもり」が「スマホで検索」するという冒頭は円丈らしいなと思ったけど、いずれも筋書きに関係ないし(笑・そもそもひきこもってる人がスマホを使うとはあまり思えない…)、関係ない部分って勢いが無いと面白くないものだけど、この日はもたもたしてたもんだから、間延びして感じられた。カンペについては、開始三分で手が伸び、しまいにはほぼ読んでる状態(笑)でもそれが楽しい。帰りに同居人が「落語って『人を見に行く』ものなんだなあ」と言うので嬉しかった(笑)


喬太郎は時事ネタ等をあれこれ繰り出してから年末の枕に落ち着き「カマ手本」へ。喋り散らかした後の冒頭の無音の数分や、どの場面にも居る「正統派」の時代人(というのか)が効いている。でも、幾ら落語がキャラクターに依る、喬太郎の新作なんて特にそうだとはいえ、ここまで「カマ」を強調されると少々不愉快(枕でちょこっと触れた、風間杜夫の芸からきてるんだっけ?)。唯の愛憎劇だと聴いてる方が唖然としてしまうんじゃ、という「配慮」でもあるのかな。「カマが悪いんじゃない、くるったカマが悪いんだ!」と言い訳めいた台詞もあり(笑)