LOOPER/ルーパー



公開二日目、ミラノ1にて観賞。ジョセフ・ゴードン=レヴィッド演じる殺し屋が、ブルース・ウィリスによる「未来の自分」と向かい合う。


事前にブルース・ウィリス出演作の予告編が二本、「ダイ・ハード」の方で息子に「旧式」なんて言われてるのを聞きながら、彼の姿が映えるのはやっぱりこういう劇場だなと思う。カラカラに乾いたポップコーンと一緒に買った熱いばかりのコーヒーも、作中ジョセフの前に置かれる「煮詰まった」やつと重なって、悪くなかった。


映画には、積み重なって形作られていくものや、剥がしていくと画が見えてくるものがあると思うんだけど、本作は後者。その、断片を剥がしていく語り口が見事。前半の、「世界」やその中に生きる「主人公」の描写が抜群で、遠くに見える高層ビルや、ジョセフの腕の傷など、薄々分かってるものが目に入る、そのタイミングがいい。
こんなところが(剥がれるの)?という描写もあり、例えば脇役の一人が愛に対する渇望を露わにする場面には不意を突かれた。でも冒頭から、この「告白」を受けるボスの配役がジェフ・ダニエルズというのがやけにメロウだなと思ってたので、心にすっと入る。
一見「今」と変わらないようでいて「未来」を表すもの、インタホンや撒布機?などが彩りを添えてるのには、昨年のお気に入り作、リメイク版「トータル・リコール」の冷蔵庫を思い出した。エミリー・ブラントと撒布機を捉えた遠景はノスタルジックでいい。


とうもろこし畑について「枯れてるんだから、焼いちゃえば」と言うジョセフは、農業に関してなど知らないことについては全く無知だけど(そこに「育ち」が表れてるのかな)、基本的には「賢い」。咄嗟の知恵でもって挑む、終盤の西部劇みたいな撃ち合いが面白い。そして「未来」のジョセフも、登場時からして分かるように、やっぱり「賢い」。
先に書いた「傷」についての楽しい会話を皮切りに、本作では何度も「頭がいい」というセリフが出てくる。ジョセフは「過去」のジョセフに、母親は息子に向かって言う。唯一この息子だけが、それを嫌がり「抵抗」する。
もう一つ、目立った描写は男達が「目覚める」場面。女の目覚める様子は隠れて見えないが、男の見開かれる目は、例え脇役であってもスクリーンに大きく映し出される。


結末はあまり好きじゃない、あれはあくまでも「想像」、「そういうもんじゃない」と思うけど、ジョセフがそう考えてそうした、単にそういう話だと思えば、それはそれでいい。