シンパシー・フォー・デリシャス



マーク・ラファロの初監督作。日本版ポスターじゃバンドのボーカリスト役のオーランド・ブルームがメインだけど、そういう映画じゃない。ラファロの親友、クリストファー・ソーントン演じる主人公が体験する、障害+オカルト+音楽+犯罪もの…というには各々がさらりと扱われ、さわやかなラストに向かう。


マーク演じるはスラム街で炊き出し活動などを行う神父ジョー、車の椅子の背もたれに腰痛防止のタマタマ?を付けてる地味なおじさん。脇役かと思ってたら、終盤では主人公ディーンとがっつり絡む。
自らの超能力に気付いたディーンに「そういうことに詳しい人に会ってみないか」と持ちかけるので、どこへ連れて行くのかと思えば聖職者仲間の所。彼らはディーンの力は「神からのギフト」であり、それを活かすことこそ使命だと説得する。しかし「ホームレスの更正施設を作りたい」と考えるジョーは、お金になるものはお金にしようとする。ディーンの「賃金」について二人が話し合うシーンが面白く、マークの芝居の中の「小芝居」が憎いばかり。終盤の「ぼくは二度は謝らない」ってセリフもいい(笑)


やがて、半ばヤケになったディーンはオーリー率いるバンドに誘われるまま参加、ライブに「治療」を組み込んだ彼らは「新しい教会みたいなもの」などと評され人気を博す。ところがその後、話は鮮やかに意外な展開を見せ、結局は人間同士のぶつかり合い、それによる心の動きに焦点が当てられる。映画としてはでこぼこした印象を受けたけど、熱意を感じた。


ヒロインにジュリエット・ルイス、ゲスト出演にローラ・リニーという女性陣も、ベタながら嬉しい。ジュリエットは赤い羽根付き帽、ライブの際の髪型も可愛い。ディーンの車に勝手に乗り込んできて「ぎゃはは〜(足の悪いあんたが)勝てるわけないじゃん」なんて言うシーン、モーテルのソファでブーツを脱ぐシーンなど、彼女の魅力が存分に出てる。少々弱っちいのが、私としては期待外れだったかな?