顔面バカ一代


NPO法人ユニークフェイス」代表のフリーライターが「顔にアザのある人々」について書いた一冊(ASIN:4062748576)。「顔面漂流記」を改題、文庫化したもの。
著者は医学や心理学、社会学など何らかの領域に通じているわけではないので、ここに書かれているのは、当事者の日常…きわめて日常的なことばかり。それゆえに真実味があります。
しかし、大学生までもがすれ違いざまに(アザのある顔を見て)暴言を吐くなんて、私には信じられない。加えて、著者によると「20年前は、大人を面と向かって馬鹿にするのは「一部の悪童」だったが、今の子供は皆で取り囲んで私を罵倒する」。その他、国による初対面の際の態度の違いなども、なるほどなあという感じでした。
スーザン・ソンダクが言う「隠喩と神話が人を殺す」って、そうだよなあ、たしかに「人は隠喩なしでは物事を考えられない」もんなあ。それがこの著者にとっては、「化け物」(化け物ではないのに、隠喩でそう呼ばれる)であり、「前世で悪いことをすると/ウソをつくと、顔にアザができる」(流布している神話)という仕打ちなんである。


私はなぜ自分の顔を特別なものと思うんだろう?というのは子供の頃から考えてたことで、たとえば、脚やお尻は、神様にもっと「キレイ」なものと取り替えてあげるよ、と言われたら実行してもらうかもしれないけど、顔は絶対に嫌だ(尤も、この本に倣って?言うと、今現在「普通」の顔を持ってるからそう思えるのだろう)。
このことに関しても、何か探して読んでみようかな。あ〜、中村うさぎとの対談「自分の顔が許せない!」(ASIN:4582852351)をまず買ってこようかな。