アンヴィル!夢を諦めきれない男たち



「30年以上も続いているバンドは世にそうない。ストーンズザ・フー…そしてアンヴィル



私にとっては、機微やパワーがあまり感じられず、期待してたほどじゃなかったけど、楽しく観た。メタルってあまり分からないけど、ツイステッドシスターのディー・スナイダーが出てきた時(字幕でそうと分かった時)には、声が漏れてしまった(いい人そうだった・笑)


「皆は彼等を利用し、そして捨てた」…80年代初頭の一時期、メタル界に多大な影響を与えたアンヴィルは、現在も地元カナダで活動を続けている。主要メンバーは学生時代からの友人同士、ボーカルのリップスとドラムのロブ。音楽で稼ぐことはできず、日々の糧を得るための仕事に追われ、20年ぶりのヨーロッパツアーではトラブル続き。しかし旧知のプロデューサーに連絡を取り、アルバム制作に漕ぎ着ける。


アンヴィルが売れなかった理由は「インディーズレーベルから発売したせい」。当時を知るプロデューサーとのやりとりでも「自分たちでやろうとしたから失敗したんだ」という結論に落ち着く。しかし映画の終わり、再起を掛けた新譜がレコード会社から見放されると、彼等は「CDをファンに直接売ることにした」「他のバンドもこうすればいいのに」などと言い出す。本心からそう思うようになったんだろう。このくだりは作中ではあっさり流されてしまうので、その後の経緯と、今の考えを知りたいなと思った。


たしかに全編これ「スパイナル・タップ」なんだけど、ロブがレコード会社に自主制作CDを届ける場面(後頭部のハゲ具合がイイ)などは、「ハードロック・ハイジャック」の冒頭(の、ルックスが全然違うけど、ブレンダン・フレイザー)を思い出した(笑)
感情丸出しのリップスに対して常に冷静なロブの方が、レコード会社では熱心にアピールするのが面白い。


ラストの日本公演のシーンにおいて、「メタル・オン・メタル」を演奏する際、84年の彼等の映像が挟まれるの、よくある手法だけど、まるきりコメディ映画みたいで、どういう意図があるんだろう?と思ってしまった。


人生の残りのうち、死から一番遠いのは今日。だから「今やるしかない」というの、本当に「やってる」人の口から出ると、重みがある。