リンカーン弁護士



予告編に遭遇したこともなく、ポスターのマシュー・マコノヒーをちらりと見て「マジック・マイク」の前哨戦にしようと思ってたら、全然そういうんじゃなかった。
ドラマなんかで見慣れた体の「弁護士」ものだけど、「映画」を感じる。終盤に至り、前半のあれこれを活かした、ごりごりの法廷ものになるのが面白い。


冒頭、リンカーンの後部座席をオフィスにする「リンカーン弁護士」ハラー(マシュー)の「いつも」の一日が描かれる。流れるお金、お金。その「軽快」さに、こんなもの見て何が面白いんだと少々がっかりしていたら、次第に彼の足はぬかるみにはまってゆく。いや、もしかしたら前からはまってたのかな?と思っていると、ものすごい汗と目の下のクマを経て、その足取りは力強くなっていく。


ハラーが「身内」として付き合う調査屋フランクにウィリアム・H・メイシー、都会に堕ちた半漁人とでもいうような登場シーンがずるい。検事であり元妻であるマギーにはマリサ・トメイ。目尻のシワが巨大なつけまつげみたいでキュートだった。感情がダイレクトに伝わってくる彼らの表情と、主役のマシューと彼が「悪」と呼ぶ者の、何かを隠している風の演技、どちらも楽しめる。


ハラーは顔見知りの刑事に「クズどもの弁護ばかりして恥ずかしくないのか」という言葉を投げ付けられる。たまたま先日「死刑弁護人」(感想)を観たところなので…そりゃあこっちは全然!作り物!だけど、ちょこっと通じるテーマだから、そういう意味でも面白かった。