円丈十番勝負



開口一番(柳亭市助「たらちね」)
三遊亭円丈「なんばん」
五街道雲助「もう半分」
 (中入)
三遊亭円丈「現代怪談噺〜返事」
 (6/29・日本橋教育会館)


円丈の新たな会、初回は「作るのは30年振り」という怪談がテーマ。
開口一番は市馬のお弟子さん、さすがにしっかりしてる。その後、円丈がプロデューサーの大友氏と共に登場(ゲストの雲助に「私はいいです」と断られたそう・笑)、スカイツリー羽織のお披露目。数日前の塚越アナウンサーの死に触れ、あんなに元気だったのに、ニュースを聞いたおかげで(ネタ下ろしする新作の)練習に集中できなかった、と結局いつものように「覚えられなかった」話へ(笑)大友氏が「彼が一番聴きたかったろうに、その辺り(会場)に居るかも」と言うと「お客さんを怖がらせないで下さいよ、皆まずは笑いに来てるんだから・笑」。
登場し直し、枕に「カレーを食べに行って失敗した話」などを振り「そういう、外食関係の噺です」「これなら出来るかなと思って」と「なんばん」へ。ナマで聴いたのは初めて、全然「鉄板」の出来だった。「理論的」な内容に、クライマックスの「なんばんくしゃみ」の馬鹿馬鹿しさがいいアクセント。
次いで上った雲助は短めの枕の後「もう半分」。落とした照明のせいもあってか、地の部分を語る時の上目遣いが光って怖い。上手いんだけどこういう本格的?な怪談は苦手、はめもの付きの「芝居」の場面では気が遠くなってしまった(笑)


中入後は雲助より凝った照明での登場、こんなの初めて(笑)「生前もっと芸を磨きたいと言っておきながら、噺家の幽霊が出たなんて聞いたことがない」「文楽師匠も化けて出てくれば…」などの枕からも分かるように、そもそもオカルト的なものを怖がってないというか特別視してないんだから、正統派の怪談をやるわけない。しかもその後「これから怪談をします!」「こわぁ〜〜〜い噺をします!」なんて「宣言」する始末、「古典」の前の毎度の「あらすじ」と同じだ(笑)
物語は「武蔵野の豪邸」を舞台に、大金持ちのお嬢様と大サンショウウオが「悪者」に復讐を遂げるというもので、怪談というよりホラーコメディ。ネタ下ろしだからか、とくに前半はほぼ「舞台の説明」。サンショウウオを裂く場面で「手拭いを使ってやってみたけど上手くいかなかった」。サンショウウオが復活を遂げる場面の馬鹿馬鹿しいこと。「悪者」の「落語走り」には、「ランボー怒りの脱出」の一場面を思い出した(笑)面白い噺じゃ決して無いんだけど、楽しかった、観てよかった。