BLITZ



冒頭、オヤジを馬鹿にする不良少年どもをどっかんどっかんいう音に合わせて殴り倒すジェイソン・ステイサムに、そういう映画なのかと思いきや、いい意味で期待は裏切られ、ステイサム無双じゃない、色んな男を揃えた刑事「ドラマ」となる。でもってラストに再びすこーんと突き抜ける。渋さといびつさが混じった、妙な面白さを感じた。


色んな男が「揃ってる」のがポイントだ。つながりは固いが、やたらつるんだりしないので観易い。
後半に入って更に惜しげもなくイイ男が投入されるのにびっくりした。何か「裏」があるのかと思ったら、ヒロイン?の恋人の美男というだけの役どころ。こういうの新鮮でいい。演じるのはルーク・エヴァンズ、検索したら「タイタンの戦い」や「ロビン・フッド」に出てるらしいけど、観たのに覚えてない。ブラッドリー・クーパーのイギリス版という感じを受けた。


ステイサムは古風な男女観の持主だが「素直」なので、「ゲイ」にも「女」にも人気だ。「ゲイでも構わないぞ」「(寝ている間に)オレにさわったか?」。「(PC操作は)女の仕事だろ?」と言われた女性警官が「such a dinosaur!」と嬉々としてやってあげる。職場ではみ出し者の男性と仲良くすることには、性的な快感があるものだ。その後の「婦警さんたちと寝てるんでしょ」「オレを誤解してる」というベタなやりとりもいい(笑)


全篇にさらりと描かれる「イギリス」も楽しい。冒頭、暴力を振るうステイサムの後ろをわざとらしく通り過ぎる二階建てバスに始まり、警察内の狭苦しいカフェで紅茶にクッキーつまんだり、集合住宅&その庭で追跡劇が繰り広げられたり。バーでステイサムが残すクラッカー、私が食べたかった(笑)