ゲット・ラウド ジ・エッジ、ジミー・ペイジ、ジャック・ホワイト×ライフ×ギター



先日、NHKの番組「ディープピープル」落語家編を観た。三枝と昇太、談春トークって、なんでこの三人?という感じだけど、この映画の予告を見た時にもそう思ったものだ(この場合、私にギターの知識がないから)。でも観ているうちにそういうの、どうでもよくなる。バランスのいいドキュメンタリーで面白かった。


ジ・エッジ、ジミー・ペイジ、ジャック・ホワイトがギターと共にスタジオに集合。セッションの合間に、彼らが「ルーツ」を訪ねて自らを語る様子、過去の写真やライブ映像などが散りばめられる。「ギター」の深遠に迫るというより、三人がギターを、音楽を通じて生きる様が浮かび上がってくる。


オープニング、農場?でコカコーラの空き瓶を使い弦楽器を作るジャック・ホワイト。いわく「ギターなんて買わなくたっていい」。スタジオへ向かう車内で「おれたちが集まったら殴り合いだな」「二人を煙に巻いてやるんだ、それでテクニックを盗むのさ」などと突っ張ってみたり、「9歳」のジャックにロック魂を伝授したり、彼の登場場面はインパクトと彩りがある。
サンハウスのレコードを掛け、ジャケットを膝に熱っぽく語る(それにしても、レコードとめるの早すぎだろ・笑)。前髪うざいな〜と思ってたところが、その後に出てくる昔のペイジの方が勿論うざいので、何らかのスピリットが表れてるのかな、だからペイジはジャックを可愛がってるのかな、と思った(笑)


私はU2っていいと思ったことないんだけど、ジ・エッジのパートの後にライブ映像が挿入されると、いつまでも観ていたいという気持ちになる。U2聴いてる人、ギターの知識がある人には今更なんだろうけどど、作中の彼のとある解説に、ああ、だからU2はああいう音なんだ〜と分かってすっきりした。
突然「スパイナル・タップ」が出てくるので何かと思えば「10分も15分もソロ演奏をやるなんて自己満足に過ぎない/この映画には笑うより泣けてきた」(笑)ちなみにジャックの「テクノロジーはクソだ」というようなセリフの後、カットが変わるとエッジがMacのコンピュータを使ってるというくだりもあり、そういうちょっとした段差に笑う。彼はそういう「段差」を作るための強固な存在なのかなと思った。
終盤はU2が結成された高校の廊下で「ここに貼ってあったんだ、メンバー募集のチラシが…」としみじみさせてくれた後、ダブリンの海岸での作曲風景。全編通じて、穏やかな表情の下の闘志のようなものを感じさせた。


ジミー・ペイジについては、やってきたことを順に追い、「現在」ではにこにこしてるだけで最高にフォトジェニック。ヤードバーズ加入直前の写真などとくに素晴らしい。中にはあんな映像、なぜ撮ってあるの?というものもあり。
自宅のレコード棚の前で、14歳の頃に出会った曲に合わせてギターを弾く真似をする際のはじけるような笑顔がチャーミング。ちょろちょろ弾いてくれるギターも絶品で、「Ramble On」の「光と陰」に、ああこんなシンプルなことなんだ、と幻惑される。ヘッドリー・グランジで、ジョン・ボーナムのドラムについて語る場面も面白い。エンドロール前の映像も目に焼きついて離れず。


エンドロールでは、3人がアコースティックギターを抱えてザ・バンドの「The Weight」を演奏。彼らを囲む多くのスタッフやカメラごと外から捉えた映像がよかった。