落語研究会 昭和の名人 弐



東劇にて、シネマ落語・第二弾を観賞。プログラムは、古今亭志ん朝船徳」/金原亭馬生臆病源兵衛」/三遊亭円生「引越しの夢」/林家正蔵中村仲蔵」。
一席目から志ん朝なんて!と思ったけど、観終わってみれば、志ん朝がフレッシュな二つ目に感じられるくらい、他の三人の「生ける落語」感がすごかった。しかも全員、やたら可愛らしく感じられた。


志ん朝の「船徳」は大好き。冒頭の船宿の描写、出番は多くないのに存在感の大きな若旦那。音でしか知らなかったから、船上の仕草を初めて見られて嬉しい。
この日の私の一番のお気に入りは馬生。映った瞬間、ボケかけてるんじゃないかと思ったけど、噺に入ると面白いこと。「臆病源兵衛」は白酒さんのしか知らなかったけど(そっちも面白いけど)、全く!違ってた。三人組が背後の「気配」を感じ取って振り向く、なんてことない描写の凄さ。ちなみにここまでの二席は、暑い盛りの噺。
円生はマクラでの「覚えたての言葉を遣ってみよう」という照れ笑いがあまりにキュート(笑)こういう噺ってヘタな人が演ると、前半部に対する「女に生まれると嫌だなあ」なんて思いを、そこから掛け離れた(いい意味で)くだらない後半まで引きずってしまうものだけど、円生のは気持ちよく聴ける。皆がいびきをかく中、抜け出す場面は腹話術を見てるよう。この一席に限らずこの日のラインナップでは、それぞれの身ぶりが堪能できた。そうそう「ゲスの知恵とネコの金玉は遅れてくる」って聞いたの初めて(笑)
正蔵の「中村仲蔵」は正直寝ちゃうかも…と思ってたけど、情景がありありと目に浮かび飽きなかった。これも今まで聴いたのと全然違う、もっとも現在じゃ色々説明が必要だから、変わって当たり前か。
全員マクラがほとんど無かったのと、会場に空席が目立ってたのが印象的。後者については、昔はそういうもんだったのかな?