SUCK



レンジで30秒だけチンしたぬるま湯みたいなロック&ヴァンパイア&ロードムービー。でも楽しく観た。血吸い&キメの場面で流れるのは「T.V.eye」。


ドサ回り中の「Winners」のベース担当・ジェニファーが、ある夜を境にヴァンパイアに。彼女の魅力でバンドの人気は急上昇、メンバーは戸惑いつつもツアーを続ける。しかし彼らの後を、ヴァンパイア・ハンターの「エディ・ヴァン・ヘルシング」(マルコム・マクダウェル)が追っていた。


主人公を吸血鬼道?に誘うのはアリス・クーパー、諌めるのはイギー・ポップ。他、人気DJにヘンリー・ロリンズ(「ロッキン・ロジャー」という役名やスタジオのインテリアの止まり感がすごい)、生肉バンドのボーカリストMOBY、ちらっと登場する店員としてアリスの娘のキャリコ(エンドクレジットで判明)などが出演。
冒頭、バーテンダーとして登場したアリスが「夢を追わなくなったら終わり」というようなことを言うので、なんだそりゃ?と思っていたら、彼は「黒の天使」なのだった。イギーの方はベテランプロデューサーの役どころ。第一声、まだいける力強さに惹き付けられる。後半コート姿で出てくるんだけど、彼にあんなの着せるなんて、ちゃんとイチ役者として扱ってる証だ(笑)
バンドのメンバーはイギーのスタジオや機材のボロさに文句を言うが、それに対するフォローはなく、「古い」評価のままで終わり。また、最後にアリスいわく「(若造に比べて)俺の種族はオールドスクールって言われてる」。「過去」じゃなく「もはや永遠」ってことなんだろうけど、いずれも印象に残った。


「Winners」はボーカルのジョーイ(この男性が脚本&監督&主演)始め男4人+女1人という構成。4人が極めて「普通」…「ぼんくら」でも「過激」でもなく、ほんとに普通なのが最近じゃ逆に?新鮮でよかった。それぞれの個性を徐々に認め、見分けが付いていく、当たり前のことだ。彼らによるヴァンパイア・ギャグの数々が楽しい。
しかし映画全体について、わびさびは皆無。役者や役どころに色気がないとかそういう意味じゃなく、昔ながらの手法に楽しい工夫も加えた映像からは、何も滴ってこない。「健全」と片付けるのは簡単だけど、そういう個性なのかな?と思った。


時にはゴースト・バスターズみたいな格好で登場しながら、気が抜けた世界を引き締めてくれるのがマルコム・マクダウェル。何がどうって演技じゃないんだけど「映画観てるなあ」という気持ちになる。エンドロールのおまけ映像も楽しい(笑)


来月末にはDVDがリリースされるそう↓

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