ビッグ・バグズ・パニック


虫好きなので観に行ったんだけど、分かってはいたんだけど、私が好きなのは本物の虫であり、これはそういう映画じゃなかった(笑)でもとくに後半は、とても面白かった。



職場で閃光と爆音に失神したクーパー(クリス・マークエット)が目覚めると、自分含む周囲の人間は繭に包まれ、辺りを巨大昆虫が跋扈していた。居合わせた人々は、家族の安否確認などのため、建物を出て目的地に向かう。


オープニングタイトルはB級恐怖映画の趣。前半は、よせばいいのに外に出る者やうざい女などこの手の映画につきものの要素ばかりで、私はそういうの得意じゃないから、ずっとこんなんだったらどうしようと思ってたんだけど、男達がクーパーの実家に辿り着くあたり…人が減り、それぞれのキャラクターがはっきりするあたりから面白くなる。
中でも見せてくれるのは、老眼鏡が見つからないのに「お前には読めないだろう」と息子には地図を見せようとしない、クーパーの父親(レイ・ワイズ)。元軍人の彼は、独裁に文句を付ける亡き妻や息子をヒステリー扱いし、久々の再会に思いやりも見せない。今後ちょっと頑張ったくらいで私は見直さないぞ!と思いつつ(笑)「久々に興奮してきた」というセリフにこちらもうきうきさせられ、ベタながらも感動的な最期にはほろっときてしまった。


人間を襲う巨大昆虫は「それほど精巧でもない大きな模型」といった感じで、「ああ虫だなあ」と思う。
映画はクーパー親子の関係や「非常時に人間同士が排除し合う恐ろしさ」など様々な要素に広く浅く触れながら、シンプルなクライマックスに突入する。かつて「ヒーローに憧れ」たが現在は「独我論」的人間である主人公が、人間の世界を昆虫から救う。「歩くより速いし、(虫を引き付ける)音もしない」と自転車で移動したりと、牧歌的な雰囲気が楽しい。


冒頭、クーパーの着ているスーツのよれよれ具合に驚いた。もちろん彼はそういうキャラクターなんだけど、あまりにリアルだったので。
「一人くらい見栄えのする男を出してくれればいいのに…」と思いながらも、彼の口にするセリフがいちいち楽しく、最後には応援していた。


それにしても、「女性の化粧直し」でコンパクトを手に口紅塗る姿というのは、PCに堪能な人物がやたらキーボードかちゃかちゃしてるのと同じ「お約束」だなと思った。口元ばかり気にしてる女性ってあまりいない。