ディボーシング・ジャック


1998年イギリス作品。
首相選挙を数日後に控えた北アイルランドベルファスト。コラムニストのダン(デヴィッド・シューリス)は美大生マーガレット(ローラ・フレイザー)と知り合い、関係をもった。ところが買い物に出ている間に、彼女は何者かに殺されてしまう。「ディボース…ジャック」という言葉を残して。
警察はもとより、なぜかIRAやアルスター義勇軍にまで追いかけられるダン。どうやら選挙がらみの事件に巻き込まれたらしい…


「Divorcing Jack」(原題同じ)ってダイイングメッセージだったんだ。でもその謎は早々に解けます(ただし、解けても犯人はわからない)。
典型的な「巻き込まれ」モノですが、冒頭の酒呑みお気楽ライフから、殺害シーンへの落差がすごい。ローラ・フレイザーのうめき声と目ん玉かっぴらき演技がコワくて。しかし作品自体は「殺人」をそれほど重いものとは扱っておらず、あっさり幾人もが死にます。事件に対するダンの態度も結構いいかげんで、とるものもとりあえずラストまで一気に駆け抜ける、というかんじなのが面白い。しかし、あんな情勢(クルマでちょっと行けば全然政治事情の異なる土地だったり、見渡すかぎり何もない野原でラストシーンのようなことが起こったり)では、他人のことなど構っていられないのかも…
ストーリーや登場人物の会話には北アイルランドの政治事情が色々と出てくるのですが、あまり詳しくない私でも、楽しく観られました。

ダンは酒と女が好きな皮肉屋のコラムニスト、町に出れば皆がその顔を知っており(なぜ?顔写真付きで記事書いてるのかな)、タクシーの運転手(いい味出してる)にもアンタの記事は最悪だとか何とか言われる。そういうキャラクターってあまり好きじゃないのですが(フィクションにありがちなベタな「男の夢」っぽいから)、デヴィッド・シューリスのヨレヨレ演技、良かったです。ミスターベイターみたいなヅラ姿もあったし。
他のキャラクターも面白くって、とくに、ダンを救ってくれる尼さん(レイチェル・グリフィス/実は尼さんじゃない)と、マーガレットの元恋人でIRAくずれのキーガンジェイソン・アイザックス)。ジェイソンしぶかった。というわけで写真は彼のもの。


ダンに愛想を尽かした奥さんが「アンタのピストルズのレコード、トースターで焼いといたから!」と言うのが可笑しい。トースター?と思ったら、ホットサンドメイカーみたいなやつでプレスされてるの。私もやってみたい(笑)



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