立川談笑 月例独演会


立川談笑粗忽長屋
立川談笑「反グル対俥」
 (中入)
立川談笑「シャブ浜」
 (11/28・国立演芸場


出囃子はいつものsmoke on the water。開口一番「最近大きなニュースがないと思ったら」「まだ油断してません」「死に目に会ってないし・笑」。談志の死後に一門で集まり盛り上がった話の内容や、取材に答えるうちに改めて思い出したエピソードなど、しんみりじゃなく明るく、でも止まらないといった感じで、長い枕は30分。
「今日は談志が好きだった噺を演りたい」と、まずは「粗忽長屋」。いつもの「粗忽だらけ長屋」と違い(「だらけ」には違いないけど・笑)、サゲ問題=あっちとこっちにいられるか!というのを延々といじる。私はこの噺のサゲって物のはずみみたいなものだから拘るのはかっこわるいと思うんだけど、こういうのもアリかと考えた。
この時点で一時間経っていたので下がろうとするも、「弟子に『もう一席』のジェスチャーをされた」と座り直して「反グル対俥」。朝鮮人バージョンを聴くのは初めて。


中入後は黒紋付に着替え、枕無しで「シャブ浜」。ナマで聴くの初めて。
私にはあまり感じるところがなかった。しかし談笑を聴くと、落語って何だろうと考えてしまう。つまらないって意味じゃなく、私にとっては、何かを露わにしてくれる存在ってことかな。

ラブ&ドラッグ



医学部を中退しファイザー製薬のセールスマンとなったジェイミー(ジェイク・ギレンホール)は、売り込み先の病院で、パーキンソン病患者のマギー(アン・ハサウェイ)と出会う。早速セックスする仲になり惹かれていくが、「おつきあい」はしないと釘をさされる。


つまらなかったわけじゃないけど、ぴんとこず。「クライマックス」でジェイミーがマギーに「君が必要だ」と告げる場面、私には彼の言ってることが何ひとつ分からなかった。「僕は今までチャラ男(この字幕もいまいち、この場面では違ってたっけ)だった、周りの皆もそれが僕だと受け入れてたから、でも君は違う、自分に初めて自信が持てた」…えっそんなこと思ってたの?と。


ジェイミーの仕事に付き合ってシカゴを訪れたマギーは、「怒れる患者の集い」を知り「病気なのは私だけじゃなかった!」と舞い上がる。ジェイミーの上司役オリヴァー・プラットが口にする「シカゴは文明と文化の町だ」というセリフを思い出した。都会のよさ。しかし体がままならないとはいえ、彼女がそうしたアプローチをしたことがなかったとは意外だ。「奔放な」「芸術家肌」でも、そういうタイプなんだろう。
一方、同じ「集い」で妻を20数年看ている男性から「意見」を聞いたジェイミーはいつになく深刻な気分になり、二人は初めて大きくすれ違う。
その後、病気を「治す」決意を固めたジェイミーはほうぼうの病院へとマギーをひっぱり回す。仕事ではどんな窮地もチャーミングに乗り切ってた彼が、予約を伸ばされた受付で怒鳴ることしか出来ないのがせつない。自分を病気ごとは受け入れられないのだと察したマギーは離れていく。これからどうなるんだろう…と興味を持って見ていると、なんだか大したこともなく上段の場面に着地したので拍子抜けしてしまった。


映画において、カップルが何らかのトラブルによって一旦離れた後、片方(大抵男)がよそでセックスして、しばらく後に会うと、もう片方には別の恋人が…という展開ってよくあるけど、片方だけセックスしたんじゃずるいと観客に思われるからそうしてるように感じてしまう。本作もそうだった。同様のストーリーでも気にならない場合もあるんだけど。

ラブ・アゲイン



最高に面白かった!とても幸せ。


40代の「安定したサラリーマン」キャル(スティーヴ・カレル)は、ある日突然、妻のエミリー(ジュリアン・ムーア)から離婚を切り出される。「浮気」を告白された彼は耳をふさいで助手席から飛び降りた。その後バーで一人過ごすようになったキャルは、年下のジェイコブ(ライアン・ゴズリング)に声を掛けられ、「女を振り向かせる男」へと変身を遂げる。


予告編から想像されるような、夫と妻のラブストーリーというだけじゃない。たくさんの登場人物がびしっと決まっている。皆が愛おしい。
中盤ふと、そういや最初に出てきたきりのハンナ(エマ・ストーン)は何だったのかな〜と思ってるところに彼女が登場、二場面ほどで心に深く入ってくる。そして彼女のキスの後、部屋の隅から留守番電話の声が流れてきてキャルの方にすっと心が移る、そうした切り替えの見事なこと。
終盤には満を持しての勢揃い。「デイヴィッド・リンダーゲン」ことケヴィン・ベーコンが庭に姿を現す場面、私にとって「サモハンのテーブル乗り」「デュリスのスウェイジ」に次ぐ今年の体温上昇シーンだ。アクションでも何でもなく「男が一人現れる」だけでこの興奮、ここまで紡がれてきたお話のおかげだ。


それにしても、白ケビンよかった!勝手に「スーパー!」的キャラだと思い込み、終盤ライアンと同じ画面に出てきたら色男対決が見ものだな〜と期待してのたで拍子抜けしたけど、こっちの方が全然素敵。(妄想シーンにおける・笑)庭仕事の白シャツ姿もまぶしい。
物語の後「デイヴィッド・リンダーゲン」はどうしたんだろうと思うけど、彼だけ役名もフルネームだし、そういう存在なのかなと。変な言い方だけど、実体のあるマクガフィンというか…って思い切り話に参加してるけど。
登場人物のほとんどが「恋を実らせる」中、「むくわれなかった」他の一人は「ああいうキャラ」だから、また他は「年が離れすぎてるから」「子どもだから」、構わないってことなのかなと思った。


以下色々。


・今年観た映画では「ハートブレイカー」に続いて「ダーティ・ダンシング」ネタあり。意外にも力技でくる。
・音楽もとても気持ちよかった。冒頭のショッピングセンターの場面でかすかに「コンドルは飛んでゆく」が流れてるのに、「お家をさがそう」の「Nightbirds」を思い出してしまった(笑)
・嬉しかったのが、エマの友人の「あんたがコレなら私はどうなるのよ!」ってセリフ。これは「ジョージアの日記」のジョージアが父親に言う言葉を思い出した。あまり聞かないけど、そうなんだよ!と言いたい、つながり。
・ほとんど出番のない(前半など、わざとじゃないかと思うくらい「顔」を見せない)末っ子は先日観た「ラモーナのおきて」にも出てたジョーイ・キング。テレビの前で力いっぱい踊る姿がいい。あれはああいう風じゃないとダメなんだろう。