早稲田こみちの会


柳亭こみち「ん廻し」
柳亭こみち「女泥棒」
 (中入)
柳亭こみち「不動坊火焔」
 (11/25・東寿司)


高座に上ってまずは「師匠が8年ぶり(だったかな?)に私一人のために口演してくれたものを」と「怪談三連発」。小学生の時、大好きな先生もしてくれたお馴染みのやつだった(笑)けど、プロなのでさすがに上手い。燕路師匠が喋ってるとこ想像したら可笑しい。
いわく、最近は「ストロングスタイルの古典派」である師匠の好みから遠い噺ばかり覚えてしまって…と「ん廻し」。会話の内容がちょこっと粋な感じ。
次いで「この会も回数を重ねてきたので、お客様の胸を借りてチャレンジを」「ゆくゆくは『古典』になるよう頑張っております」と白鳥さん作の「女泥棒」。ネタ下ろしの時以来だけど、すごくすっきり聴きやすくなっていた。


中入後は「ここからはストロングスタイルの古典で」と「不動坊火焔」。この噺って誰が演ってもそこそこ面白いけど、せっかちな私としては四場もあるのがたるく、特に湯屋の場面は飽きてしまう。でもこみちさんのは軽快で楽しかった。はじめ丁寧、中(湯屋)とんとん、という感じ。お湯に沈む仕草が可愛いので、間近で見られてよかった。

遊雀玉手箱


三遊亭遊雀「七段目」
三遊亭遊雀「うどんや」
昔昔亭桃太郎「金満家族」
 (中入)
三遊亭遊雀文七元結
 (11/26・内幸町ホール)


シークレットゲストは桃ちゃん。冒頭トーク遊雀さんに私服を誉められ「オレは芸協の談志だから」「いきなり談志師匠の話ですか?笑」。好意はあっても追悼の意など無い、知らない人が観たら談志が死んだと分からないような自分語りが桃ちゃんらしい(笑)後の高座では枕でうんこの話の後「金満家族」。
トーク後に上がった遊雀さんは上記のことをフォローするかのように、談志について「噺家なら誰しも自分だけの思い出を持っている」。「落語のピン」出場時に初めて会ったら、その時演った「反対俥」について、酔った上で「反対俥といったら俺だろう!なぜ俺んとこに習いに来ない!」「アメリカのコメディ映画で、飛行機が小屋に突っ込むようにやればいいんだ」と言われたそう。
二席目でうどん食べる仕草の素晴らしいこと。ちなみにその後、桃ちゃんは「金満家族」の食事シーンで「ここ、つくかな?」と言っていた(笑)


中入後は大王製紙の「若旦那」(の博打)ネタを枕に、「文七元結」に約一時間。桃ちゃんの喋りが長かったこともあり(笑)7時に始まった会が終わったら9時50分。
文七は特に、語り手によってディティールが違うのが面白い。遊雀さんの場合、長兵衛さんは「博打なんてもうしたくないが、博打でないと返せない額の借金を背負ってるからせざるを得ない」。また吾妻橋の場面で、お久のことを喋ったり佐野槌の名前を出したりしないが、「天を仰いでつぶやいていた」言葉を文七が覚えていたことから、番頭さんたちが事情を推測する。これはいかにも自然でいい。
メリハリある熱演ですごいなあと思ったけど、私はこの噺が苦手なので…まず長いから!加えて主人公が家族に暴力振るってるのがいけ好かないし、おかみさんとお久がめそめそしてるのも気持ち悪い。映画や小説ならそういう話か〜と思えるけど、落語って、ある程度受け取り方を強制されてるような気がしてしまって。まあ何でも嫌いな部分があるのはしょうがない。

最終突撃取材計画


最終突撃取材計画! [DVD]

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デヴィッド・ザッカー脚本・監督の2008年作、原題「An American Carol」。今年のしたまちコメディ映画祭で上映されたそうだけど見逃した。ZAZ成分が体に流れてる身としては興味があって。


あまり面白くなかった。話もセリフもひどいし、主役に魅力が皆無なのもキツい。
邦題通り?映画監督マイケル・ムーア、ならぬマイケル・マローンが、原題通り精霊にあちこち連れまわされ過去の偉人に会う…という話をレスリー・ニールセンが子どもたちに語るという構成。これだけでもめんどくさいのに、テロリスト達が「アメリカ嫌いの監督にプロモーション映像を依頼しよう」と彼を付回す。こっちだけの話なら面白そうなのに。


唯一楽しかったのが、冒頭テロリストたちが「最近は自爆テロの志願者もいなくて」「やっぱりあんな募集ビデオじゃだめだよ」と話してる後に流れる「タリバン・フィルム」(言っとくけど、内容はほんとにくだらない)。でもこれって「ケンタッキー・フライド・ムービー」の一編といってもおかしくない、つまりいつまでも、ああいう単発ギャグが一番なのかなと。


マイケル・ムーア役のデブが頭ふまれたりはたかれたりする様子にふと故クリス・ファーレイのことを思い出してたら、クレジットにケヴィン・ファーレイ…って調べてみたらクリスの弟だった。兄弟揃って映画には恵まれないな(「コーンヘッズ」だけはオールタイムベストに入るほど好き、クリスの役も最高)。でもまあ、そっかクリスの弟か〜と思うと、観てよかった(笑)

ラモーナのおきて



これは面白かった!「空想好き」な9歳のラモーナと周りの人達の物語。主役にジョーイ・キング、お姉ちゃんにセレナ・ゴメス、ママにブリジット・モイナハンなど。


まずは体で遊ぶ楽しさが伝わってくるのがいい。私は9歳のラモーナの「空想」を表した場面より、単純に、ペンキが落ちてきたり水かけあったりというのが好き。洗車中のクルマの中でのデート(じゃないけど)なんてのもときめいてしまう。
体を使うって意味では、計算されたミュージカルみたいな楽しさもあった。お姉ちゃんに髪を巻いてもらい鏡を見た後、銀のトースターの前でカエルの真似、くるっと回って冷蔵庫のドアに寄りかかる場面なんて、可愛くて見とれる。ラモーナ始め皆の芝居調の動きが、物語をうまく運んでいる。
大体、男の人のへんな踊りがある映画ってそれだけで面白い。加えて言うなら、車の下にもぐって修理してる男の人がするっと出てくる場面も大好き。ちなみにここで登場するのはジョシュ・デュアメル、そこから出てこなくてもイイ男だ。


伏線を収拾、なんてしゃちこばった言い方は好きじゃないけど、あの「ペンダント」が、あの「写真」が、あの「絵」が!と観ていて気持ちよかった(×たくさん)。ラモーナやおばさんを轢いてた「車」が最後に活躍する画には笑ってしまった。
色んな年代の人が出てくるけど、それぞれ歴史というか奥行きを感じさせるのもいい。お姉ちゃんとボーイフレンドのやりとりは、ラモーナより大人だけど、オトナよりは子供。おばさんとおじさんの会話は「大人」。ラモーナが漏れ聞いてしまう「この車に乗るのは勇気がいるよ」、ああいう一言がぴりっと効いている。
初めての一人部屋にはしゃぐラモーナが、お姉ちゃんの部屋を覗いたらすごく素敵にしててびっくり、という場面も好きだ。たまにある、身近な人の一面を新たに知る衝撃。


ラモーナの担任の先生にサンドラ・オー、教員役は初めてかな?とてもはまってる。自分で作った単語を認めてもらえないラモーナは「no fine」と評価するけど、ああいう「普通」のことをちゃんとしてくれる先生っていい。最後の二人のやりとりにはほろっと涙ぐんでしまった。