平日の記録



J.S. BURGERS CAFE渋谷店にて、かぼちゃのブラウニー。めちゃくちゃ固いけど美味。
サザンテラスのクリスピーを通りすがりに、74周年記念のオリジナルうちわがもらえると知り入店。新製品のグレープフルーツ&オレンジジェリードーナツとコーヒーで休憩。クリスピーなのに見た目がきれいで(笑)しかも美味しかった。

立川談笑 月例独演会


立川談笑船徳
立川談笑「紙入れ」
 (中入)
立川談笑「品川心中」
 (7/12・国立演芸場


照明が全て落ちて真っ暗な中、後で本人いわく「5秒前に聞いた」というやり方で登場。出囃子は久々の「野球拳」。「5秒前」のせいか扇子を忘れ、お弟子さんに持ってきてもらう(笑)
クールビズに関する話、キャバクラの話を経て「船徳」。若旦那が全然可愛くない(笑)終わって「私にははまらないネタなんですよねえ、今回初めて来た方は、この落語家のどこが面白いんだと思うかもしれません」「でもボディブローのようにきますよ」。
なぜ演ったんだろう?と思っていると、続いて「紙入れ」。旦那の得体の知れなさと、「金さん」のお調子者ぶり&小心者ぶりの浮き沈みの激しさが楽しい。サゲが最高(だけど「ウラ」がある、後々分かる・笑)


中入後は「佃」で登場、いつもの「当時の品川は今だとどのあたりか」という簡単なマクラを経て「品川心中」。冒頭、お染が帳面を長々と繰るあたりから独特の雰囲気が出てくる。「どうしてもこの名前に目が留まってしまうのよね、くされ縁かしら…」
このお染と金さんは、先の「紙入れ」のおかみさんと貸本屋。「船徳」の若旦那も絡んでくる。前半二席はこのための布石だった。
「品川心中」って、私としては、落語ってそういうものだと思っていても、「後のない」お染の境遇、それでいて金さんを馬鹿にしてる風なのがやりきれない。ましてや談笑のようにリアルを追求する者がその筋で演ったら、どんよりしちゃう…と思いきや、いずれの点もカバーしてハッピーエンドにしてくれるんだから聴いてて楽しい。ちなみにサゲは、前回の月例独演会の続きにもなっていた(笑)
帰り道、同居人が「(談笑のも面白かったけど)あんな嫌な噺でもさわやかに聴かせてしまう志ん朝ってすごいんだなあと、改めて思った」。天才と、才能と努力の人、どちらにも役割があるものだ。

赤い靴


ユーロスペースにて、デジタルリマスター版を観賞。



レルモントフ・バレエ団のオーナー兼プロデューサー、ボリス・レルモントフ(アントン・ウォルブルック)は、ロンドン公演中に二人の若者を一座に加える。バレリーナのヴィッキー(モイラ・シアラー)と、音楽家のジュリアン(マリウス・ゴーリング)だ。アンデルセンの「赤い靴」を題材にした新作で、ヴィッキーはプリマへの道を歩み始める。


冒頭、ドアの向こうから、壁のポスターも破ってなだれこんでくる若者たち。当時のバレエは大衆の娯楽でもあったらしい。桟敷に転がり込んで良席を取ったのが「青年」(に見えないのが、作中何度かダメージとなる・笑)ジュリアン、もっとも彼と仲間の目的はバレエではなく音楽。「バレエには詳しくない」「目標は違う、バレエなんて二流だ」。「音楽家」志望にはそういう見解の者もいるのだと分かる。
一方のヴィッキーはティアラを着け、金のしたたりそうな叔母と席におさまっている。そしてボリスは、カーテンの陰に隠れて手だけを動かし意思を伝える。三者三様の佇まいに加え、公演の様子を端的に表したこの一幕がまず面白く、物語に惹き込まれる。


劇中劇のバレエ「赤い靴」は、私の目には映画がそこだけ「ミュージカル」になったように見え面白かった。映画そのものに沿った…渾然一体となった内容の物語が展開するのだから。
ヴィッキーの足に赤い靴がすっぽりとはまり、舞台が大地になり客席が海となり、ダンサーを中心に世界が流れ流れていく様子は、目前にバレエを観るのとはおそらく違った、映画ならではの面白さ。逆説的だけど、だからこそ本作は「バレエを題材にした映画」を超えた、ずばり「バレエ映画」なんだろう。


以降の展開に、ああ、これはヴィッキーでなくボリスの物語なのだと思わせられる。バレエを「宗教」として崇める彼は孤独で、がんじがらめの中に居る。
公演の成功をヴィッキーと祝うため「海岸で一番おしゃれなレストラン」を予約するも、彼女を含めた皆はもっと気楽な場所に繰り出している。ヴィッキーとジュリアンの関係を、彼だけが知らない。「バレリーナはバレエに全てを捧げるべき、恋などしたらおしまい」という主義でありながら、前のプリマの時と同様、その踊りを目の当たりにしているのに、彼女が恋をしていることに全く気付かない。しかし「それ」を知ったら、もう「ダメ」なのだ。踊りでなく、自身の心の側の変化ゆえに。
(「恋をした」後の彼女の踊りに変化があるのか、私も目をこらしてみたけど、全然分からなかった(笑)本人は何か違う心持で撮影に臨んだのだろうか?)
ジュリアンを呼び出し談判の最中、彼に「誤解です、僕達は本当に愛し合ってる」と言われた時の顔。ボリスにとって「恋」とは「くだらない幻想」であり、その存在を当たり前のように認める他の人々とは理解し合えないのだ。彼がヴィッキーに「裏切られた」と言うのも分かる。だって身を捧げると約束したじゃないか。


本作には、モンテカルロの風景を映したリゾート映画、あるいは重要な場面に出てくる列車映画としての一面もあるし、全編を通じて、セットや衣装の、俗っぽい高級感とでもいうようなものが味わえる。ボリスの部屋に置かれた、バレリーナの足首の彫像や舞台のジオラマが目を惹く。
ジュリアンのピアノを聴きながら、ボリスは朝食を、ヴィッキーは昼食をとる。どちらも楽しそうじゃないけど(笑)ボリスはグレープフルーツに、ヴィッキーはオレンジジュース?に、大量の砂糖を入れて食しているのが面白かった。