GLOW



Netflixにて先月末に配信の始まったシーズン2を観賞(ドラマは映画と同じカテゴリにしています)。最終回に「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」ネタが出てきて、週末に見に行く予定だったから偶然だとびっくりしたものだけど、考えたらどんな話にだって出てきておかしくない。どこにでもある問題だから(本作はこの件については「プロレス愛」を優先させて楽観的に描いている)。


バッシュ(クリス・ローウェル)がカルメンの助言でフロリアンを探しに「ハリウッドのバー」を訪ねると、「Smalltown Boy」が流れている(「BPM」に比べて1985年が舞台のこちらは「リアルタイム」だ)。バッシュは戸惑うが、カルメンは「これ好き」と踊り始める(この曲が「一般人」にも流行っていたのだと私にも分かる)。やがて病院からの電話でフロリアンが「医学的には肺炎」で亡くなったと知ると、バッシュは屋敷を業者に消毒させて(「手袋をしろよ!」)一人泣く。偏見の陰にある個人というものが、1985年を舞台としたこのドラマ全編に流れている。


だって、ここで描かれる女子プロレスというものがまずそうだから。リングネームは「Black Magic」「Beirut the Mad Bomber」「Fortune Cookie」等々である。「お茶の間に放映されているまま」(日本版Netflixの文章より)の8話は、お楽しみであると同時に(Netflixの特番みたいなものだなと思いながら見た・笑)私達も「それ」、彼女達の表面だけを見る体験ができるというわけである。「リバティ・ベル」を見た誰が、彼女が駐車場で涙を呑んだあの時間のことなんて想像しうるだろう。


ルース(アリソン・ブリー)がテレビのお偉いさんと二人きりのホテルから逃げ出す場面では、自分を案内したレストランのスタッフは勿論、何の関係もない食事中の客達までもが、少なくとも私には、自分を「助けてくれなかった」ふうに映って、世界でひとりぼっちの感じが胸に痛かった。これはいわゆるワインスタイン問題を踏まえたネタだと私は受け取らない。常にあることだし、そもそもここでは「問題」にすらなっていないのだから。