ジャームッシュ二作



ジャームッシュ監督作が二つ同時に劇場公開されているので、見た記録をちょっとだけ。バスの運転手にして詩人のパターソンの一週間を描く「パターソン」と、イギー・ポップを迎えてThe Stoogesを振り返る「ギミー・デンジャー」。


「パターソン」は私には「普通」だったけど(ここで「普通によかった」と言えば作品に適う気もするけど・笑)パルムドッグをとった犬が可愛くて可愛くて!冒頭出勤しながらのアダム・ドライバーのナレーションが二度繰り返されるところで、それが彼が育てている「詩」であると分かり、映画に引き込まれた。詩人の話と知ってただろって言われそうだけど、鳥頭だから映画が始まったら忘れてた(笑)


永瀬正敏が演じるのは本当に特別な役。アダムと彼のやりとりの場面で、映像の色が不意に変わって見えた。変な例えだけど、巾着袋の内から世界を眺めてたのが一瞬にして外からの視点に鮮やかにひっくり返ったような気がしたものだ。一方「ギミー・デンジャー」では、内外が目まぐるしく入れ替わる。基本的にはカメラの前で語るイギーの視点でストゥージズが描かれるんだけど、ステージ映像になると、いい!というように、外からしか見られない(笑)


この二作は肉筆繋がりでもあった。誰かが書いた文字をスクリーンで見るのって好きだ。言葉といえばイギーの「ジェームズ・ウィリアムソンは部屋に放たれた麻薬犬のようだった、隈無く空間をギターの音で埋める、俺の声がオクターブ高くまで出るようになったのは唯一の空所を埋めるため」という表現がとても面白く、冒頭に詞は言葉をどれだけそぎ落とすかが肝心というような話が出てくるんだけど、彼の詞、改めて読んでみたくなった。