きっと、うまくいく



「インドで歴代興行収入ナンバーワン」の記録を達成した作品。まさか170分もあると思わなかった(笑)


(以下少々「ネタバレ」あり)


一部の隙もなく派手にパッケージングされたような画面に少々着いていけずにいたのが、次第に心が引っ掛かる部分が現れる。第一に「死」に遭遇する場面。世界が一気に広がって見えた。
第二に、ランチョーの言動に怒った学長が、彼を引っ張ってきて「そんなに偉いんなら授業をやってみろ」と教壇に立たせる場面。ランチョー自身を含め室内が一瞬しんとする。しばらくして学長が「時間のムダだ、勿体無い」。私としては、こういう、一見「何も起こっていない」時間こそが、現実でも「映画」でも面白いんだよなあと再確認した。
本作は、乱暴に言うなら(作中描かれる)「工学部」のように、よく出来た、役に立つ映画。私はもうちょっと、違うほうが好きかなと思った。


ランチョーの言動で、確かに周囲の人々は「良く」なっていくんだけど、何でも分かってると思うなよ!と若干むかついてたのが、後半、印象が変わっていく。そもそもランチョーは、あんなに何でも「知って」いながら、「キスするのに鼻がじゃまになる」なんて思ってるやつなんだから。ラスト、彼が初めてキスして「鼻がじゃまにならない」ことを知る場面、一人じゃないから「分かって」いけるんだよなあ、と思いほろりとした。


物語を進めてきたファランのナレーションは、最後を「優秀ならいい、成果は後からついてくる」と締めくくる。これは作中何度も繰り返されるランチョーの信条、行動原理であり、ファランもそれを「実感」したわけだ。これ、例えば今の日本なら、もう一段「楽」な内容になるだろう。(舞台が舞台だから当然としても)「優秀」であることは否定しなくても「メッセージ」になるほど、インドの競争って激しいんだな、と思った。