落語研究会 昭和の名人 五



シネマ落語の第五弾を、東劇にて公開二日目に観賞。
プログラムは桂文楽愛宕山」/柳家小さん粗忽長屋」/古今亭志ん朝「反魂香」/柳家小さん「笠碁」。


文楽の「愛宕山」では山登りの仕草に(映像中の)客達が大拍手。「かわらけ」を齧る仕草も、私には新鮮。映画を見てるような気になった。
同居人も私も小さんは得意じゃないので、二席は少々辛かった。「笠碁」は志ん朝の後だったからのろく感じたけど、次第に気持ちが沿ってきた。東劇のスクリーンは上映中は真っ暗、フィルムの中の笑いと場内のが混じり合って、渾然一体という感じ。それにしても花緑さんの「笠碁」って、本当に自分で作り上げたものなんだなあと思う。


何と言ってもよかったのは志ん朝の「反魂香」!音源は持ってないし(映像は発売されてるよう)、そもそもこの噺は改作しか聴いたことが無いので初体験。反魂香を譲ってもらえなかった八五郎がこのしみったれめ!と外へ飛び出してからの生薬屋での一幕(「くしゃみ講釈」ぶりに笑っちゃう)、帰ってさっさと支度をするあたりのせっかちぶりが最高に気持ちいい。高尾が「普通」、というか特に女性っぽいわけじゃないのもいい。
観賞後、銀座四丁目のお気に入りのドトールでお茶していたら、同居人が「あれだね」と言うので窓から見ると、向かいのコアビルのショーウィンドーに蓮の葉っぱのディスプレイ、そのうち一枚に蛙が一匹乗っていた。「反魂香」で八五郎が女房に言われる(想像する)セリフ「蓮の台で一人で居るんだよ」ってやつ。こういうのって嬉しい。