彦いち 落語組み手 十


三遊亭天どん「ひと夏の経験」
林家彦いち「何があったんだ」
瀧川鯉昇「そば処ベートーベン」
 (中入)
林家彦いち「鮑のし」
アフタートーク(彦いち×鯉昇)
 (9/10・北沢タウンホール


この会、興味はあったけど何だかんだで今回が初めて。まずは私服姿の彦いちが挨拶、二週間の夏休みの話など。
対(?)鯉昇というので「ゆるい」がテーマだから、いつもと毛色の違う二つ目を呼んだとのことで天どんが登場。「会場の空気が読めない」と古典・無難な新作・自分は一番好きだけど受けない新作、の三択アンケートを取った結果、最後のやつに(笑)円丈絡みの時はあの姿勢に却って疲れちゃってたけど(ゆるいなんて、そんなわけないだろうと思う・笑)、自信作?ということもあってか、初めて彼のよさが分かったような気がした。
次いで上った彦いちは円朝まつりでの天どんの話を振ってから、鯉昇についてあれこれ。落語会の後、袖を引かれて「くだらないこと言ってニヤニヤしようよ」と飲みに誘われたとか(笑)「自分の噺にはよっしゃ!みたいな人ばかり出てくるけど、今日はそういうんじゃないやつを」と、私は初めて耳にする新作。私にとって彦いちの新作って、たまに全く何も伝わってこない時があるけど、これもそのタイプ(笑)
鯉昇の「時そば」改作?は、この時季に聴けると思わなかったので嬉しかった。ギャグよりも何でもないところが可笑しい。


中入後は彦いちの「鮑のし」、前半たるく感じたけど、後半になって一気にドライブ。「うけけけけ…」の繰り返しに前方の席の子どもが爆笑、それを受けて「こればかり続けてるわけにいかないから・笑」。この感じ、どこかで覚えがあるなと思ったら、彼の「青菜」もそうだった、あれも面白かった。
最後に座布団を二枚並べてトーク。鯉昇いわく「ヘタにちゃんと聴いてつまらないより、なんとなく楽しかったな〜という方がいい」。一期一会の話題から、彦いちの前座時代に志ん朝の「うまくいったという、時そばの一席でした」のエピソード。当たり前だけど噺家さん本人にとっては、落語ってナマが当たり前なんだなと思った。お喋りもはずみ時間が押したのか、彦いちが最後に慌てて「(柳昇)師匠の話を…」と振ると「師匠が好きで入るんだから始めは真似、でも途中から離れて独り立ちしないと」。これはよく聞くセリフ、やっぱりそうなんだなと思った。