ウォール・ストリート




「自殺する勇気のある金融マンは少ない、恥を知ってるやつだ」


ミラノ2にて。このスクリーンは「ディスタービア」以来、偶然どちらもシャイア・ラブーフもの。あの監禁されてひーひー言ってた男の子がいっちょ前のwall street manになってる!と感慨深かった。


数日前に「ウォール街」を観ておいて本当によかった…と始めのうち思った。「金より時間」なんて言葉がマイケル・ダグラス演じるゲッコーの口から出てくるの、以前の彼を知らないと面白くないよなあと。しかし途中から、前作とは全く方向性の違う「ファミリーもの」だと分かってくる。ゲッコーいわく「バブルのような」人間関係の話。はかないと思いきや、ラストに映るしゃぼん玉は、壊れずどこまでも上ってゆく。


ストーリーがもこもこしてる上に映像は古臭いんだけど、観ていて楽しかった。ごちゃごちゃした早回し、分割、反射。しかし例えば「ジェイコブ(シャイア)が車内で電話を受けると、助手席のウィニーキャリー・マリガン)の顔の上に電話先の顔がかぶさる(脳内の「相手」が代わる)」といった場面には愛嬌を感じた。「カネ」を現すのに女の宝石類を映していくのには、さすがに辟易したけど。
出演者もそれぞれ魅力を活かしている。普段苦手なマイケル・ダグラスもこのシリーズでは心惹かれるし、昔から応援してるシャイアはさておき(笑)キャリー・マリガンの可愛らしいこと!パーティ会場から追ってきた父親と話す際、薄い胸で息してる様子がとてもいい。ファッションもどれも素晴らしい(とくに家を見に行くときの格好!)。脇役の爺さんたちも、私には区別つかないけど(笑)皆いい顔してる。


観終わって、同居人と一時間ほど話し込んでしまった(それだけでも「面白かった映画」ってことになる・笑)。いわく、ウィニーがジェイコブに対して怒ったり許したりする理由が分からないと。確かにストーリーを追ってもいまいちぴんとこない。でも、何かが起こったことで、相手を責めるわけでも自分が反省するわけでもなく、ただ関係を終わらせたくなることってあるよなあ。
最後の展開には、中盤の「おれだって人間だ」というゲッコーのセリフ通り、そういうこともあるかもね、人間だもの…と思ってしまった。